2016年、JCBデビットカードが続々と登場
多くの銀行に広がる「ブランドデビットカード」
2015年12月、地方銀行や大手流通グループ系列の銀行が、2016年中にJCBデビットカードを発行開始することを相次いで発表しました。
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2015年12月時点では、既に楽天銀行、千葉銀行、大垣共立銀行(岐阜県)、北洋銀行(北海道)がJCBデビットカードを発行しています。また、スルガ銀行(静岡県)をはじめとする多くの銀行が「Visaデビットカード」を発行しています。
日本のデビットカードとしては、Visa・JCBデビットカードのほかにも、銀行キャッシュカードに自動付帯する「J-Debit」というデビットカードもありますが、VisaやJCBより加盟店が少なく、JCBのようなロゴが記載されていないため知名度も低く、普及しているとは言えない状況です。
一方で、Visa・JCBデビットカードは、Visa・JCBクレジットカードと同様、多くのVisa・JCB加盟店で利用できます。
Visa、MasterCard、JCBなど、世界中の多くの国や地域で使用できる決済ブランドは、日本では「国際ブランド」と呼ばれています。
JCBなどの国際ブランドが搭載されたデビットカードを総称して「ブランドデビットカード」と呼ぶこともあります。
デビットカードとは何か。そのメリットとデメリットは?
Visa・JCBデビットカードとは、Visa・JCBクレジットカードと同様に、店舗で提示するだけで決済を行うことができるものです。
では、何がVisa・JCBクレジットカードと違うかといえば、一回払い専用で、使った瞬間に銀行口座から代金が引き落とされることです。
月払いのVisa・JCBクレジットカードは、お店で使ってもすぐに口座から代金が引き落とされるわけではありませんね。月に1度、それまでの利用額がまとめて引き落とされます。
そのため、「現金ではなくVisa・JCBクレジットカードで支払ったが、引き落としが数週間後なので、いくらお金を使ったかわからなくなってしまう」ということになりかねません。
Visa・JCBデビットカードは使った瞬間に銀行口座から代金が引き落とされ、入出金明細にも記載されますから、お金の使い過ぎを防げます。
下の画像は、私の楽天銀行デビットカード(JCB)の利用明細です。
デビットカードのメリット
Visa・JCBデビットカードのメリットとしては、次のような事が挙げられます。
- 即時決済なので使い過ぎの心配なし
- 預金通帳(明細)に金額が記載される
- 収入が審査の対象にならない
- 海外でもキャッシュカードとして使える
3番目と4番目について詳しく説明します。
年収や職業により発行の可否が審査されるクレジットカードとは違い、ほとんどのVisa・JCBデビットカードは、加入時に審査がありません。そのため、無職・無収入でも発行できます。
若年者にもメリットがあります。クレジットカードは18歳以上でなければ発行できませんが、Visa・JCBデビットカードは15歳または16歳から発行できるものがほとんどです。
また、JCBデビットカードでは、海外のCirrusというATMネットワークを使って、JCBデビットカードと連動した銀行口座から現地の通貨を出金できます。
JCBクレジットカードでもCirrusで現地通貨を引き出せますが、「海外キャッシング」扱いになりますので、返済するまで利息がかかります。この点は、自分のお金を引き出すだけのJCBデビットカードのほうが有利です。
デビットカードのデメリット
Visa・JCBデビットカードにデメリットと言うほどのものはありませんが、強いて挙げれば次のようになります。
- 1回払いしかできない
- 銀行口座を選べない
- 月額利用料金には使用できない場合が多い
- 通帳に金額が記載されてしまう
まず、「1回払いしかできない」点ですが、これは即時払いというVisa・JCBデビットカードの特性ですから、クレジットカードと使い分ければ良いことですね。
2番目は、「Visa・JCBデビットカードは銀行口座と直結するから、別の銀行口座を指定できない」という意味です。たとえばクレジットカードなら「三井住友Visaカードの代金を三菱東京UFJ銀行の口座から引き落とす」こともできますよね?
デビットカードの場合は、引き落とし口座にできるのはカードを発行する銀行だけです。楽天銀行デビットカード(JCB)の代金は、楽天銀行から引き落とすことしかできません。そもそも、銀行口座を開設しなければデビットカードを発行してもらえません。
次に、「月額利用料金」とは、電気ガス水道や電話料金など、月に1度支払うことを前提とするものです。多くは後払いですから(たとえば、1月に使った電気の料金は、2月に支払いますね)、Visa・JCBデビットカードに適していません。
口座振替にできるものも多いですが、最近話題の「格安SIM」の中には「クレジットカード払いしか受け付けない」というものもありますから、Visa・JCBデビットカードはお手上げです。ただ、徐々に対応する会社が増えてきてはいるようです。
4番目の「通帳に金額が記載される」という事ですが、これはVisa・JCBデビットカードのメリットであり、デメリットでもあります。
詳細なVisa・JCBデビットカードの使用履歴が記録されるということは、誰かに見られてしまうおそれがあるということでもあります。
また、些細なことですが、紙の通帳を使っている場合は記載が増えてゴチャゴチャになってしまいます。
どの銀行のJCBデビットカードがオススメ?
冒頭で取り上げたように、多くの地方銀行が2016年にJCBデビットカードの発行開始を予定しています。先にお話ししたように、デビットカードは銀行口座を開設していなければ発行してもらえません。ですから、お住まいの地域の金融機関をお選びになることをおすすめします。
ただ、地域に関係なく口座開設できる金融機関としては、インターネット銀行が便利ですね。特に楽天銀行は、JCBデビットカードを発行しています。
筆者も、楽天銀行デビットカード(JCB)を愛用しています。通常の楽天カード(JCB)と同じく、利用金額の約1%分、100円につき1円分の楽天スーパーポイントが貯まります。もちろん、ポイントは楽天グループで無駄なく使うことができますよ。
楽天銀行は口座残高が10万円未満の場合はATMでの入出金に手数料がかかってしまうのが残念ですが、一度に3万円以上入金すれば残高にかかわらず手数料無料ですし、ゆうちょ銀行口座から引き落とすことで手数料を無料にする方法もあります。
繰り返しになりますが、この楽天銀行デビットカード(JCB)を発行するためには、まず口座開設を行う必要があります。カードだけ申し込むことはできませんので、ご注意ください。
Visaデビットカードも選べる
このページで何度も「Visa・JCBデビットカード」と記載してきたように、ブランドデビットカードにはJCBだけではなくVisaもあります。クレジットカードと同じく、違いは加盟店数くらいで、決済手段としての差はありません。
JCBは日本発祥のブランドですから、世界全体を見ればVisaのほうが加盟店が多いことは事実です。今回はJCBを中心に取り上げましたが、海外渡航が多い方であれば、Visaデビットカードのほうが便利かもしれません。
ただ、世界中のカードがVisaばかりになってしまうのはアンバランスですから、日本を代表するJCBにも、MasterCardやAmerican Expressにも、デビットカードのような新たな決済手段を提供するためにがんばってもらいたいですね。