通信・モバイル

なぜ格安スマホ・SIMは苦情とトラブルが絶えないのか?

格安スマホ・格安SIMは「マニア向け」

2010年頃に登場した「格安SIM」は、当初は「パソコンやインターネットにものすごく詳しい、マニア向けの商品」でした。

現在はどうかと言えば、数多くの家電量販店で格安スマホ・SIMが販売されるようになり、テレビCMまで流れていますね。

しかし、いくら知名度が高くなっても「パソコンに詳しい人向け」という性質は変わりません

そのため、パソコン・スマートフォンが苦手な人や高齢者までもが「少しでも家計を節約したい」という思いで格安スマホ・SIMを購入してしまい、「設定方法が理解できないので解約したら、手数料と違約金を取られてしまった」という苦情・トラブルが後を絶ちません。

2017年4月、国民生活センターが注意喚起

そして2017年4月、消費者保護を行う独立行政法人・国民生活センターが、「格安スマホ・SIMでトラブルが多発しているから注意してください」という注意喚起を行いました。

こんなはずじゃなかったのに!“格安スマホ”のトラブル-料金だけではなく、サービス内容や手続き方法も確認しましょう-(発表情報)_国民生活センター

こちらのページによれば、2011年度に20件だった「格安スマホ・SIM」に関する苦情は、2016年度には1045件に急増しています

そして、格安スマホ・SIMに関するトラブルの事例として、次のような事柄が挙げられています(表現はわかりやすく改めました)。

  1. 契約した「格安スマホ・SIM」のお店が近所にないのでトラブルを相談できない。電話サポートはあるが、いつも話し中でつながらない!
  2. スマートフォンが壊れたので修理に出したが、「代替機」のレンタルサービスがないので1ヵ月間利用できなくなってしまった。
  3. 契約した「格安スマホ・SIM」では、メールアドレスを提供していなかった。仕方ないので無料のGmailを使っているが、相手に届かないことがある。
  4. 格安SIMだけを購入して手持ちのスマホで使おうとしたが、「SIMロック解除」しないと格安SIMを使えない機種だった。
  5. 中古スマートフォンを購入したが、前の所有者が割賦金を払っていなかったため、お店に持って行っても修理できなかった。
  6. 格安スマホ・SIMの発送後、設定しなくても自動的に契約が開始することを知らなかった。

どうでしょうか? いずれも、MVNO(格安スマホ・SIM)のヘビーユーザーであれば常識だと思います。

実際に、インターネット上の掲示板やSNSでも(具体的にどことは言いませんが……)、「初心者は格安スマホ・SIMの購入前にもっと知識を身に付けろ!」という趣旨の厳しい指摘が相次いでいます。

ただ、スマートフォンに詳しい人だけが格安スマホ・SIMを利用できて、「『普通の消費者』は損をする」なんて不公平ですよね?

そこでこのページでは、どうすれば「ごく普通の人」がトラブルに巻き込まれずに格安スマホ・SIMを契約して節約することができるかを考えていきます!

初心者こそ、格安スマホ・SIMの仕組みを知ろう

いきなり難しい話になりますが、「なぜ、格安スマホ・SIMは安いのか?」という仕組みについて知ってください。

落ち着いて読めば必ず理解できますし、トラブルに巻き込まれないためには必須の知識です。わかりやすく解説しますので、ぜひお読みください。

「どうしてもわからない……」という方でも大丈夫です。「なんとなくわかった」という程度で良いですから、最後まで読み進めてみてください!

MNO・MVNOとは何か?

まず、携帯電話・スマートフォンはdocomo・au・SoftBankという大手の会社から提供されていますね。これらの「大手携帯電話会社」のことを「MNO」と呼びます

MNOとは、Mobile Network Operatorという英語の略称で、つまり「携帯電話事業者」(意訳)のことですね。

では、格安スマホ・SIMの事業者はどう呼ぶのか? と言うと、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)という言葉が使われます。

「Virtual」は「仮想の」と訳されることが多い形容詞ですね。なぜ「仮想」かと言うと、大手携帯電話事業者から『設備を借りて』格安スマホ・SIMを提供しているからです。

わかりやすいですか? 難しいでしょうか?

一旦、用語を整理しましょう。

  • MNO…Mobile Network Operator。大手携帯電話事業者。日本ではdocomo・au・SoftBankが該当する。
  • MVNO…Mobile Virtual Network Operator。上記の「MNO」から設備を借りてサービスを提供する、いわゆる「格安スマホ・SIM」の事業者。

イラストも用意しました。下手な絵ですが、「手作り感」があるということで!(えっダメですか?)

MNOとMVNOの関係

なぜMVNO(格安スマホ・SIM)が安いかと言えば、MNO(大手携帯電話会社)から基地局(電波塔)と電話回線を借りているからです。

しかし、MNOの専売店(「docomoショップ」「auショップ」「SoftBankショップ」)は借りませんし、データ通信用のインターネット回線は自分で用意しますから、MNOに支払う金額を安くでき、ユーザーも格安でスマホ・SIMを利用することができるのです。

ただ、格安スマホ・SIMの契約者はMNOの専売店でサポートを受けられないために、苦情とトラブルが多発しているようですね。

最近はUQ mobileやmineoのようにサポートを受けられる店舗を設けるMVNOも増えていますが、MNOと比べると微々たるものです。

では、次に「SIMとは何か」を見ていきましょう。

SIMとは何か

SIMとは、Subscriber Identity Moduleの略です。つまり加入者識別部品(意訳)と言えるでしょうか。

このSIMには電話番号が書き込まれており、その電話番号からは「加入者は誰で、どのプランを契約しているか?」ということがわかります。

現在のSIMはカード状になっているため、「SIMカード」と呼ばれることがほとんどですね。

普通に携帯電話・スマートフォンを契約していてもSIMカードの存在を意識することはありませんが、スマートフォンには必ずSIMカードが取り付けられています。

スマホにSIMカードを取り付けなければ、電話もインターネット通信もできません。

iPhone 6 PlusとSIMカード

このように、スマートフォンの「SIMトレイ」を開けると、中にSIMカードが入っています。

では、SIMカードを取り外したり、新たに取り付けたりするのはどんな時でしょうか? それは、今持っているスマートフォンでMVNOの格安SIMを使う時です。

SIMカードには契約者の情報が書き込まれていますから、スマートフォンを機種変更しなくても格安SIMを取り付けるだけで、MVNOのサービスが利用できるようになるのですね。

……ただし、実際には「MNO(ドコモなど大手の会社)で使っているスマホのまま格安SIMを使う」には手続きが必要です。なぜならばSIMロックがかかっているからです。

d社によるSIMロック

たとえば、docomoから購入したiPhoneは、最初はdocomoのSIMでしか使うことができません。「格安SIM」に入れ替えて使うためには、SIMロック解除という手続きが必要です(例外もありますが、話が複雑になるので省略します)。

なぜそんなことをするかと言えば、docomo・au・SoftBankは、「2年間契約してもらうかわりに、スマートフォンの購入価格を安くします!」というキャンペーンを行っていますね。

ですから、大手携帯電話会社には「自社が負担してスマートフォンを安くしたのに、格安SIMなどの他社に乗り換えられたら損してしまう!」という意識があるのでしょう。

それでも、手続きをすればSIMロック解除できるようになっただけまだマシで、(日本では)2015年5月以前に発売されたスマートフォンは、絶対にSIMロック解除できないものが多かったのですよ。

それでは、格安スマホとは何なのか?

「格安SIMをスマートフォンに取り付ければ、MVNOが提供する安価なサービスを利用できる」ということがわかりました。

では、「格安スマホ」とは何なのでしょう? 「格安SIM」とはどう違うんでしょうか?

身も蓋もありませんが、「格安SIMを取り付けて使うスマホが格安スマホである」と言うこともできます。

ただ、「SIMフリースマホ」のことを格安スマホと呼ぶことが増えてきている印象ですね。

「SIMフリースマホ」とは、初めからSIMロックがかかっていないスマートフォンのことです。ですから、購入した人が自分で「格安SIM」を取り付けて使うことができます。

3大キャリア(MNO、大手携帯電話会社)の場合は、料金プランとスマートフォンがセットになっています。

よって、「SoftBankと契約せず、SoftBankショップでiPhoneだけ購入する」ことはできません。だから「スマホを購入したら料金が割り引かれる」んですね。

他方、「SIMフリースマホ」(格安スマホ)は家電量販店やインターネットショップで売られていて、料金プランとは無関係に購入できますが、基本的に割引はありません。

3大キャリアとMVNOの違い

ですが、「『格安SIM』と『格安スマホ』を別々に購入するのはわかりにくい」と考えるユーザーが増えているためでしょうか? 結局、MVNOも格安SIMと格安スマホのセット販売を行うことが多くなっています。

初心者がトラブルなしで格安スマホ・SIMを購入する方法

初心者の方が格安スマホ・SIMのトラブルを避けるために、以下の方法を提案します。

  1. 中古スマートフォンは一切購入せず、「格安SIM」と「格安スマホ」をセットで買う
  2. 実店舗と電話でサポートを受けられるMVNOを選ぶ
  3. 信頼できるMVNOの会社と契約する

残念ながら、メールアドレスは絶対に変わってしまうので、お知り合いに伝え直すしかありません。

まず、「SIMロック解除は必要か? 『料金未払い』で通信制限されていないか」という心配は、中古スマートフォン特有のものです。

ですから、初心者の方は高そうに見えても、新品のスマホを買ったほうが損をせずに済むと考えて間違いありません。

そして、「お店と電話でサポートを実施している、信頼できるMVNOを選ぶ」ことが何よりも大切です。

ただ、MVNO(格安スマホ・SIMの会社)はMNO(大手携帯電話会社のdocomo・au・SoftBank)より大幅に店舗数が少ないからこそ、苦情とトラブルが多発しているんですよね? サポートが充実していてお店も多いMVNOなんてあるんでしょうか?

私が知る限りでは、UQ mobileはMVNOの中で最もサポートが充実している印象があります。

信頼できるMVNOとは?

UQ mobile(ユーキュー・モバイル)は、大手携帯電話会社(MNO)のKDDI(au)から通信回線を借りているMVNOです。

ただし、一般的なMVNOと異なるのは、KDDIの子会社であるということです。ほとんどのMVNOは大手携帯電話会社とは無関係ですから、UQ mobileの信頼性が高いことがわかります。

あなたも、「UQモバイル、だぞっ」という言葉が印象的な、深田恭子さん達が演じる三姉妹とガチャピン・ムックが登場するCMをご覧になったことがありませんか?

UQ mobileは他のMVNOと違って資金力があるため、テレビCMをガンガン流せますし、実店舗も数多く展開しており、サポートが充実しているのです。

2017年8月25日の段階で、UQ mobileのスマホを扱う専売店・家電量販店は合計2,788店舗となっています。「スマホの使い方がわからない……」という時でも、UQ mobileなら気軽に相談できますね。

料金は安い?

現在、docomoでスマートフォンを使うためには「カケホーダイ」と「spモード」、そして「パケットパック」を契約する必要があります。本当にややこしいですね。

ですが、UQ mobileは「おしゃべりプランS(V)」というプランを契約するだけで良く、月額約2,000〜4,000円で格安スマホを利用できます(初期費用3,240円と、スマートフォン購入費用は別に必要です)。

docomo・UQ mobileの料金比較(いずれも税込)
docomoUQ mobile
カケホーダイライトプラン(スマホ/タブ)
1,836円
おしゃべりプランS(V)
2,138円
(14ヶ月目以降 3,218円)
SPモード
324円
データSパック 2GB
3,780円
合計
5,940円

こちらの「おしゃべりプランS(V)」は、1回5分以内の通話が何度でも無料という、格安スマホとは思えない大きなメリットがあります。

ですが、契約から2年以内に解約すると10,260円の違約金がかかるのは残念ですね。サポートが充実しているから仕方がないのでしょうか?

UQ mobileでは、iPhone SEやSIMフリースマホを格安でセット購入できるキャンペーンも頻繁に実施されています。こちらの公式サイトで契約できますよ。

格安スマホならUQ mobile

「具体的にいくらお金がかかるのか?」「どんな手続きが必要なのか?」という質問もUQ mobile公式サイトの電話サポートから行えますから、格安スマホ検討中の方もご覧になることをおすすめします。

タグ: 格安SIM MVNO