大草原の小さな家 シーズン9まで全話ネットで動画配信!
アメリカのテレビドラマ「大草原の小さな家」を視聴できる動画配信サービスの情報をお伝えします。
「大草原の小さな家」ネット動画配信サービスはHuluのみ
「大草原の小さな家」と言えば、19世紀後半の古き良きアメリカ西部開拓時代を描いたドラマですね。
アメリカでは1974年3月30日に初回スペシャルが放送され、1984年12月17日に最後のスペシャル版が放送されました。
約10年間にわたって、9シーズン、全208話が放送されたことになります。
日本でも、1975年から1982年、そして1991年に、NHK総合テレビで放送されました。
10年間の月日の流れ
「大草原の小さな家」は10年間にわたって製作されたため、作中の登場人物とそれを演じる役者の成長、そしてアメリカの発展を窺い知ることができます。
たとえば、「大草原の小さな家」の原作者でもあるローラ(演:メリッサ・ギルバート)は、第1シーズンでは8歳という設定でしたが、後に結婚して子を設けます。
さまざまな人がウォルナット・グローブにやって来ては立ち去り、物語は進んでいきます。
第1シーズンの1875年頃は、隣町に行くだけでも命がけでしたが、徐々に鉄道網が整備され、電話も登場しました。
ネット動画配信サービスで「大草原の小さな家」を視聴すると、「シーズン9を見た後に、再度シーズン1を見る」といったことも可能です。
そうやって昔に戻ってみると、「ああ、ローラもネリーもまだこんなに小さいし、アルバートもいなかったんだ!」と気付かされて面白いですよ!
また、アルマンゾの兄・ロイヤルの設定がシーズン9で急に変更され、妻を亡くしてジェーンという一人娘がいることになるなど、ドラマならではの「ご都合主義」に気付かされてしまうこともあります。
「大草原の小さな家」を視聴できるネット動画サービス
日本で「大草原の小さな家」を視聴できるネット動画サービスは以下の通りです(2018年5月5日現在)。
当然ながら、合法的に視聴できる公式の動画配信サービスで、利用は有料です。
いずれも、スマートフォン(iPhone)またはタブレット(iPad)とクレジットカードがあれば今すぐ利用できます!
別途「Chromecast」(クロームキャスト)または「FireTV Stick」(ファイアティービースティック)という機器を約5,000円で購入すれば、テレビの大画面で楽しむこともできますよ。
- NetFlix
- Hulu
- U-NEXT
残念ながら、「Amazonプライム・ビデオ」では「大草原の小さな家」のネット動画配信は行われていないようです。
また、いずれも英語音声・日本語字幕のみです。坂上忍さんが演じるアルバートの声は聞けません!!
では、どのサービスを選べば良いか? ですが、まずNetFlix(ネットフリックス)は「大草原の小さな家」のシーズン1・2しか配信していません。
ですから、「大草原の小さな家」シーズン9までネット動画配信するサービスは、Hulu(フールー)またはU-NEXT(ユー・ネクスト)ですね。
しかし、U-NEXTはちょっと料金プランが複雑です。まず月額は2,189円(10%税込)ですが、1ヶ月ごとに1,200円分のポイントが付与されます。
このポイントはU-NEXTで動画レンタルに使えるのですが、「特に観たい動画が決まっていない」という場合は使い切れないことがありますね。
そこで、より月額料金がシンプルなHuluを使うことをおすすめします。
Huluは月額料金が1,026円(税込)とシンプルで、映画・ドラマ・アニメなど、6万本以上の動画を視聴可能です。
また、2020年6月からは、新作映画の有料視聴も可能になりました。
日本版Huluは日本テレビグループですので、「ぶらり途中下車の旅」「笑点」など日テレの番組も、広告無しで放送当日から視聴できます!
さらに、BBC・CNNニュースやFOXチャンネルの生放送も視聴可能ですから、ビジネスマンにもおすすめです。
Huluは加入から2週間は無料で利用できますから、期間内に解約すればお金は一切かかりません。
ただし、2週間以内に「大草原の小さな家」シーズン9までの208話を全て視聴するのは難しいですが……。
実際に私も母と2人で「大草原の小さな家」をシーズン9まで2017年12月から毎日2話ずつ観ましたが、全話見終えるまでに2018年3月まで約4ヶ月かかりました。
ですからおそらくお金はかかりますが、Huluは話題のハリウッド映画やドラマが続々と配信されますので、毎月1,026円払う価値はありますよ!
こちらのリンクをクリックすると、Hulu公式サイトから動画配信サービスを契約できます。
政治的な文脈における「大草原の小さな家」
ここからはちょっと視点を変えて、「『大草原の小さな家』は、政治的にどのような意味を持つのか」を考えます。
なお、より専門的な論考は、「ローラ・I・ワイルダー協会会員」かつ「ローラ・I・ワイルダー研究会会員」の服部奈美さんが、ご自身のサイトに詳しくお書きになっています。
アメリカ人の「大草原の小さな家」 - ローラ・インガルス・ワイルダー / Laura Ingalls Wilder
「アメリカ人の神話」になった「大草原の小さな家」
まず前提として述べなければならないのは、「アメリカ合衆国には神話が存在しない」ということです。
日本を含む多くの国において、神話は政府による支配を正当化し、人々を国民として統合する手段として用いられました。
ですが、アメリカには神話がありません。先住民(インディアン)の神話があっても、白人入植者にとっての神話ではありません。
付け加えれば、神話や伝統に基づく王族・貴族もいないので、アメリカ合衆国にはヨーロッパと同じ意味での「保守主義」は存在し得ないことになりますね。
しかし、「アメリカ人」は外国からやって来た単なる労働者・ビジネスマンではありませんから、何らかの「神話」がなければアイデンティティを持てません。
そこで神話として用いられたのがキリスト教(プロテスタント)です。
「大草原の小さな家」でも、インガルス家・ワイルダー家は必ず日曜日に教会に行き、オルデン牧師の説教に耳を傾けます。
ドラマではキリスト教の役割が原作よりも強調されており、チャールズが瀕死の養子・ジェームズのために祭壇を作って祈りを捧げ、奇跡が起きてジェームズは回復します。
もちろん「祈る」という行為は精神的な安定をもたらしますから、アメリカの開拓者にとってキリスト教が心の支えとなったことは間違いありません。
一方で、「大草原の小さな家」、特にドラマ版によってキリスト教が本来の役割を超えて「アメリカ神話」化されたとも言えるのではないでしょうか。
そして、19世紀後半のフロンティア・スピリット(開拓精神)を描いた「大草原の小さな家」自体も、「我々の祖先がこの国を作ったのだ」という意識をアメリカ人に植え付ける神話になったと考えられます。
リバタリアニズムとの関係
もう一つ、「大草原の小さな家」が持つ政治的な意味があります。それは「リバタリアニズム」です。
リバタリアニズム(自由至上主義)とは、平等によって個人の自由を尊重する社会民主主義的リベラリズムとは異なり、政府の介入を良しとしない立場です。
つまり、「税率を低くして、公共事業も社会保障も減らそう。民営化を推進しよう」という立場がリバタリアニズムです。
ローラの父さんやエドワーズさん、ガーベイさん、アルマンゾたちは、毎日必死に働いて、少しでも家族に楽な暮らしをさせようとします。
町を疫病が襲っても、政府は助けてくれません。そのかわりに住民たちが祈り、助け合うことで、危機を乗り越えていきます。
「政府も法律も整備されていない、原初の自由状態」です。事実、そうしてアメリカ合衆国は発展してきたのでしょう。
そんな「政府が介入しなくても、努力すれば必ず報われる」という牧歌的な「大草原の小さな家」は、まさにリバタリアンにとっての理想郷です。
もっとも、全世界で政府の役割が拡大した現代とは異なり、19世紀のアメリカは「政府に頼りたくても頼れない」状態でした。
ローラたちウォルナット・グローブの人々は、「自由で、全て自分の努力で解決できた」というより、「たまたま厳しい環境を生き残った」だけでしょう。
実際にインガルス家は第1話で強制的に立ち退かされてしまいますし、シーズン9後の最終回でも、ウォルナット・グローブの住民は曖昧な法律のせいで政府に保護されず「町を爆破する」という行動に出ます。
「大草原の小さな家」作中の理不尽な出来事はもちろん、現代の格差・貧困も、政府や民間団体の介入がなければ解決し得ないことにも留意しなければなりません。
「リバタリアンにとっての聖典」のような位置付けとなった「大草原の小さな家」ですが、作中の価値観を現代にそのまま当てはめることはできません。
ローラには偏見がなかったが……。
さらに、「大草原の小さな家」には3つ目の政治的な解釈が存在します。それは「白人至上主義」です。
先ほどリンクを貼った服部さんによると、実在のローラ・インガルス・ワイルダーは、当時のアメリカ白人としては非常に珍しく、先住民・黒人・東洋人に偏見を持っていなかったようです。
一方、ドラマでは人種間の偏見を持たない父・チャールズは、実際に先住民に好意的だったものの、「白人の入植地から先住民が出て行くのは仕方がない」という考えを持っていました。
母・キャロラインに至っては、原作では明らかに先住民を嫌っている描写があります(ドラマでも少し嫌悪感を示す場面がありましたが)。
20世紀後半になり「大草原の小さな家」が知られるようになると、「ローラを除くインガルス家は、先住民に偏見を持っていた」「白人中心の物語である」ことが、主に先住民から批判されるようになりました。
「アメリカ合衆国は先住民と黒人奴隷の犠牲の上に建国されたのに、白人だけが正しいかのような描き方はおかしい」ということです。
確かに「大草原の小さな家」を「アメリカ神話」化すると、マイノリティが疎外されてしまいます。
このような批判に応えるためか、ドラマ版の「大草原の小さな家」では、先住民と黒人が原作よりも白人と対等な存在として描かれています。
もっとも、わざわざ対等であることを描かなければならない事自体、「白人を基準として、マイノリティの立場を優遇してやろう」という意図の表れです。
ですが、良し悪しは別として、20世紀前半までは(今でも?)「大草原の小さな家」のような人種観がアメリカ白人の間で主流だったことは間違いありません。
差別が存在した事実を否定するのではなく、歴史的な作品として「大草原の小さな家」を見る必要があるでしょう。
ホームドラマ・群像劇として面白い!
ここまでいろいろと政治的な文脈から「大草原の小さな家」を見てきましたが、理屈を抜きにしても面白い作品です。
確かに「大草原の小さな家」はキリスト教・リバタリアニズム・白人至上主義という政治的な意味合いを持ちますが、(日本を含め)人種・民族を問わず世界中に「大草原の小さな家」のファンがいることも事実です。
ちょっと乱暴な言い方をすれば、アメリカ版サザエさんって感じで気楽に観られるんじゃないですかね?
幼い頃のローラが仕掛けるいたずらの数々、いじわるなハリエット・オルソンと翻弄される夫のネルス……。
深刻なエピソードを抜きにすれば、「大草原の小さな家」はホームドラマまたはコメディとしても充分楽しめる作品です。
残念だったのは、ローラとアルマンゾの家庭が中心の「大草原の小さな家」シーズン9は視聴率が低迷して打ち切られてしまったことですね。
20世紀が数年後に迫ったためか、初期のような生死を左右するエピソードは少なくなり、ローラも歳相応のおとなしい性格になりました。
チャールズたちはシカゴ、メアリーとネリーはそれぞれの夫とともにニューヨークに移り住みましたね。
その分、アルマンゾの姪のジェーン、帰ってきたエドワーズさん、オルソン夫妻、結婚したウィリーに、大作家のモンタギューさんといった人物による群像劇・ホームドラマ色が強くなりました。
確かにそれまでの「大草原の小さな家」よりは単調なエピソードが多くなりましたが、「フルハウス」のようなホームドラマとして続けても良かったでしょう。
モンタギューさんなんて一度見れば忘れない強烈なキャラクターなのに、シーズン9最終回と最終スペシャル3話だけにしか登場しないのはもったいない!!
もちろん出演者は変わってしまいますが、HuluかNetFlixのようなネット動画配信サービス限定で、「その後の大草原の小さな家」を配信してほしいですね。
シーズン9までの動画配信はHuluで!
長々と「大草原の小さな家」という作品の意味を考えてきましたが、ネット動画配信サービスのHuluで今すぐ視聴可能です。
複雑な問題を抜きにして、気軽に観られる作品ですから、ぜひHuluの動画配信で「大草原の小さな家」シーズン9までをご覧ください。
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