通信・モバイル

auは赤ロムでも3G通信と通話ができるって本当?

型落ちした中古スマートフォンのメリットとデメリット

2016年9月7日(日本時間では8日)、アメリカ・Appleが最新スマートフォンのiPhone 7とiPhone 7 Plusを発表しました。日本でも予約段階で品薄になり、ニュースサイトでもiPhone関連の記事が上位にランクインするなど、大きな話題となっていますね。

ですが、節約マニア(ケチとも言う)は最新機種にホイホイと飛びついたりはしません! 新商品が発売されると型落ち品が値下がりしますし、オークションサイトや中古販売店に旧モデルが大量に出品されます。今こそ、中古のiPhone 6シリーズを購入するチャンスです。

ただ、中古スマートフォンを買う時に気を付けなければならないのは、いわゆる「赤ロム」の存在です。赤ロムとは何かについて、簡単にまとめます。

白ロムと赤ロムの違い

電話番号が入っておらず、新しい電話番号を書き込む(またはSIMカードを挿入する)ことですぐに使えるようになる携帯電話・スマートフォンは、「白ロム」と呼ばれています。「電話番号を記録するROMが真っ白になっている」という意味ですね。

それに対して、窃盗や割賦金の滞納などが理由で通信制限がかかっており、SIMカードを差し替えても通信できない携帯電話・スマートフォンは、俗に「赤ロム」と言われます。赤は赤信号の赤ですが、「ソフトバンクの赤ロムは、アンテナマークが赤くなる」という事が語源でもあります。

正確には、SIMを挿せば通信できるか否かという状態は、「ネットワーク利用制限」と称し、判定にはIMEIという番号を入力します。IMEIを入力してネットワーク利用制限が○(丸)ならば白ロム、×(バツ)ならば赤ロムです。

一方で、△(三角)マークまたは−(ハイフン)が表示されている場合は、「今は白ロムだが、今後は赤ロムになるかもしれない」という中途半端な状態です。△は割賦金支払い中、−は通信会社のデータベースに未登録の状態を示しますから、支払いが完了すれば○に変化します。

ネットワーク利用制限が△のスマートフォンは特に俗称が存在しませんが、ここでは仮に「黃ロム」と呼びます。

「黒ロム」「半黒ロム」「灰ロム」というものもありますが、従来型携帯電話・ガラケーに対してのみ使われる俗称なので割愛します。

 白ロム黃ロム?赤ロム
ネットワーク利用制限×
通信・通話不可
(Wi-Fi通信は可)
理由割賦金支払い済み割賦金支払い中データ未登録盗品・割賦金滞納

あるスマートフォンがいずれに該当するかを調べるには、IMEIを携帯電話会社のウェブサイトで入力する必要があります。

当然、中古スマートフォンを購入する時はネットワーク利用制限が○(丸)の白ロムを購入しなければならない……はずなのですが、なんと「auの赤ロムはLTE通信が制限されるだけで、3Gによるデータ通信・通話は問題なく行える」という情報を発見しました。これは本当なのでしょうか? 詳しく見ていきましょう。

auは赤ロムでも3G通信ができる?

「auの赤ロムはLTEが不可なだけで3G通信はできる」という情報は、2013年頃からインターネット上で広まっているようです。2016年9月12日現在、Googleで「au 赤ロム 3G」と検索すると、次のページが1番目にヒットします。

【ほとんどの人が知らないKDDI裏話】auのネットワーク利用制限は「LTEだけ」制限されて通話も3G通信は制限されません! | ため雑!

やはりau(KDDI)はネットワーク利用制限がかかって赤ロムになってもLTEの通信が制限されますが、音声通話も3G通信も制限されませんと書かれており、3Gでの通信速度などでよければmineoなどの安い格安SIMをさして運用することができますとも言及されていますが、すぐには信じられませんね。実際に、この情報を否定する投稿も存在します。

上の「マイネ王」(au回線とドコモ回線を選べるMVNO・mineoの会員サイト)には「確かにauでは赤ロムでも一部の3G通信ができるが、mineoはLTEにしか対応していないのでauの赤ロムは使えない」という趣旨の意見がありました。

次の「教えて!goo」はmineoではなくauそのものについてしか触れられていませんが、「auは赤ロムでも3G通信できるが、通話は不可」ということです。

情報が錯綜していますが、ここでauの通信方式についてまとめます。なお、auの3Gには「3.5G」と呼ばれるものもあり、docomoとSoftBankの3Gとは異なる通信方式ですが、本題とは無関係なので区別しません。

au by KDDIの通信方式
-3GのみLTE・3G通話LTE・VoLTE
データ通信3G3G・LTELTE
通話3G3GVoLTE
iPhone 4S
IS01
AQUOS PHONE IS11SH
iPhone 5
iPhone 6
HTC J butterfly HTL21
iPhone 6
iPhone 7
isai VL LGV31
備考 型番が○○L型番が○○V

なお、Plusを含むiPhone 6とiPhone 6sは、「LTE・3G通話」と「LTE・VoLTE」の両方に対応しています。

つまり、上の表で「LTE・3G通話」に該当する機種は、「LTEのデータ通信が制限されても、3Gによる通信・通話は行える(かもしれない)」ということですね。

次に、mineoやUQ mobileなど、au回線を使うMVNOのSIMについてまとめます。

au系MVNOのSIM
-VoLTE非対応VoLTE対応
データ通信LTELTE
通話3GVoLTE
対応機種LTE・3G通話LTE・VoLTE

ここで注意しなければならないのは、au系MVNOは「LTE方式のデータ通信しか行えない」ということです。たとえ端末側が3Gに対応していて、au赤ロムでも3G通信できるとしても、「auの赤ロムでMVNOを使って3G通信する」ことはおそらく不可能です。

さらに、au系MVNOのVoLTE対応SIMは特殊で、「SIMロック解除したLTE・VoLTE対応機種でしか使えない」ようになっていますし、そもそも3G通信・通話ができません。

ですから、ここではVoLTE非対応SIMを「LTE・3G通話」の機種に装着した場合に限って考えます。

整理すると、「auのLTE対応かつVoLTE非対応のスマートフォンは、赤ロムになってもau系MVNOのVoLTE非対応SIMで『通話だけは』できるのではないか」ということが現在の論点です。

そこで「auの赤ロムでも、3Gの通話だけはできる」ことを明記したブログがないかと探してみたところ……発見しました!

「auの赤ロムでは3G通話ができる」は本当らしい

「auのLTE対応スマートフォンは、赤ロムになっても3Gの通話ができる」ということが書かれていたのは、次のブログです。

au HTL21 入手。しかし… | 未分類 | 新潟パソコン修理テクニコム

こちらの方は中古携帯電話販売店で「LTE・3G通話」のHTL21という機種の赤ロムを誤って購入してしまい、手持ちのau SIMカードを挿入したそうです。その結果、LTE通信は行えないものの、Wi-Fiに加え電話は発信、着信ともに可能でした。とのことです。このブログが正しいとすれば、「auの赤ロムはLTE通信不能だが、3Gによる通信と通話はできる」という噂は本当だったということですね!

ただ、2013年2月時点の情報ですし、MVNOではなくau by KDDIそのもののSIMを使っていますから、mineoなどMVNOでも「通話だけできる」かどうかは不明です。

また、SMS(Cメール)が使えるか否かは明言されていません。

auの赤ロムとmineoのSIMで通信テスト(12月10日更新)

この情報の真偽を自分自身で確認するため、安いauの赤ロムを購入して、auは赤ロムでも3G通信が可能なのかテストしてみました。

VEGA PTL21とmineoのSIMカード

今回用意したのは、韓国・Pantech(パンテック)のau向けLTE対応Androidスマートフォン「VEGA PTL21」と、mineo・auプラン・デュアルタイプ(音声通話対応)のVoLTE非対応nanoSIMです。なお、PTL21はmicroSIM対応機種ですので、変換アダプタを使っています。

VEGA PTL21のIMEI

このように、auのネットワーク利用制限サイトでIMEIを確認すると「×」、つまり赤ロムになっています。

この状態ではauとau回線を利用したMVNOの通信は行えないはずですが、自宅から電話をかけると着信できました

VEGA PTL21と固定電話子機

さらに、SMSの送受信も可能でした

VEGA PTL21 SMS受信・Chromeエラー画面

一方でAPNを設定してもLTE・3Gともに通信は不可能でしたが、これはau系MVNOであるmineoなどが通話・SMSのみauの3G(CDMA2000 1X)網を使い、データ通信はLTE網を利用していることが原因です。純正のau SIMカードならば、3Gで通信できるかもしれません。

しかし、先ほども述べたように、auのVoLTE対応機種では通信が完全にLTEに一本化されており、3G通信を行うことはできません。赤ロムになっても通信できるのはLTE対応・VoLTE非対応機種のみです

それはともかく、「auは赤ロムでも3Gができる」という噂は本当であることが確認できました。ぜひ、参考になさって下さい!

タグ: au MVNO mineo