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無印良品の店舗が中国・アリババの決済サービス導入

無印良品が中国企業の決済サービス導入を発表

「無印良品」ブランドを展開する株式会社良品計画は、中国の大手IT企業・アリババグループが運営する決済サービス・アリペイ(Alipay 支付宝)を2017年1月25日に日本全国の288店舗で導入すると発表しました。

無印良品で中国のオンライン決済サービス「Alipay」導入(良品計画) « ペイメントナビ - カード決済、PCI DSS、ICカード・ポイントカードの啓蒙ポータルサイト

アリババといえば、会社と同名の「アリババ」や「タオバオ」など、中国最大の通販サイト群を運営していることで有名ですね。創業者・会長のジャック・マー(Jack Ma, 馬雲 マー・ユン)氏は中国一の大富豪であり、日本やアメリカを含む世界各国の政財界と人脈を持つことで知られています。

アリババグループは毎年11月11日を「独身の日」と銘打って大々的な販促イベントを開催しており、2015年には1日だけでグループ内の売り上げが約1兆7000億円、2016年には約1兆9000億円という数字を記録しました

アリババが運営する「タオバオ」は、2017年1月8日・日曜日にNHK総合テレビで放送された番組「NHKスペシャル・巨龍中国 14億人の消費革命~爆発的拡大! ネット通販~」でも取り上げられましたね。私も視聴しました。主に店舗を運営する2組の若者たちの視点で構成されており、経営者側のビジョンはほとんど描かれませんでしたが、ネットショップ運営の面白さ、そして成功と挫折が臨場感を伴って捉えられていました。

アリババの決済サービス「アリペイ」とは何か?

ところで、そもそも「アリペイ」とはどのようなサービスなのでしょうか? ペイ(Pay 支払う)と言うくらいですから、最近話題の「Apple Pay」や「おサイフケータイ」に似たサービスのような気がしますね。

実際、日本の無印良品の店舗に導入されるサービスは、おサイフケータイに似た決済手段です。ただし、ICチップが埋め込まれた携帯電話・スマートフォンを決済用端末にかざすわけではなく、画面に表示されたQRコードを読み取る方式です。

店頭でのAlipay(アリペイ)決済 | 中国市場向け決済

上記のサイトによると、なんとアリペイの月間ユーザーは約6億人だそうです。日本の総人口の約5倍ですね。

誤解がないように付け加えますが、アリペイは単なる決済サービスではありません。では一体なんなのかと言うと……。

  • アリペイ口座に「チャージ」した金額の範囲内で利用できる
  • コンビニや銀行口座から手数料無料でチャージ可能
  • 電気・ガス料金やタクシー料金まで支払える
  • ワリカンや友達への送金もできてしまう
  • 銀行口座と同じように、チャージ済の残高に利息が付く

……などなど、銀行とオンライン決済とおサイフケータイが一体になって、さらに進化した最強サービスなんです!

中国の「支付宝(アリペイ)」が便利すぎて凄すぎる! | Working in Asia

無印良品をはじめとする日本の製品は中国人観光客にも大人気ですが、「せっかく店に入ったのに、言葉が通じなかった」「中国のクレジットカードを使えなかった」という理由で購入をやめてしまうこともありますね。中国で主流のアリペイを導入することで、無印良品はさらなるビジネスチャンスを手に入れたと言えます。

中国ビジネスに未来はあるか?

さて、日本の店舗は無印良品を見倣って「アリペイ」のような中国人観光客向けのサービスを導入するべきでしょうか? そもそも、中国企業との取引を行うべきでしょうか。私の答えはYesです

外交上の問題は収束する気配がありませんし、日本と中国では習慣がまったく異なりますから、軋轢が生じるおそれもあります。2015年には日本で流行語に選ばれた「爆買い」も、2017年1月現在はだいぶ勢いが落ちていますね。

ただ、13億以上もの人口を抱える中国が魅力的なマーケットであることに変わりはありませんし、中国に限らず観光客向けのサービスを充実させれば、良い評判がSNSを通じて拡散されます。ごく些細なことですが、中国人観光客に「日本に来たのに、中国と同じ決済サービスを利用できた!」と思ってもらえれば、さらなる来客に結び付きますね。

もちろん、何も考えずに「アリペイ」のような中国人観光客向けのサービスを導入すれば良いというわけではありません。繰り返しますが、そもそも習慣も言葉も異なるのですから、経営者・店員ともに中国について学ぶ必要があります。

ではどうやって学ぶかですが、いきなり現地に赴いたり中国人と交流したりするのは簡単ではありませんから、本を読んで勉強しましょう。こちらの「知識ゼロからの中国ビジネス入門」という本が参考になります(画像クリックで販売ページを表示します)。

この書籍は日中関係が悪化していた2011年12月に出版されたもので、漫画・イラスト付きで「日本人と中国人の習慣の違い」が解説されていますし、政治制度や外交問題などネガティブな事柄についても包み隠すことなく触れられています。たとえば……。

  • 中国人の「不思議な行動」の根底には彼らの価値観が(12ページ)
  • ビジネスするうえで中国人にしてはいけないNG行為がある(40ページ)
  • 中国人の「日本人観」を知ったうえでビジネスにのぞむ(160ページ)

といったように、歴史や内面的な価値観をベースとして中国人の習慣が解説されています。タイトルこそ「中国ビジネス入門」であり、中国に赴任するビジネスマンが主なターゲットですが、「中国人とどのように付き合えば良いのか」という問いに答えてくれるハウツー本ですね。

先入観だけで判断せず、皆さんの企業でも無印良品のように中国人観光客向けのサービスを導入してみてはいかがでしょうか?

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