書評・電子書籍

スマホ・タブレットの電子書籍アプリKindleと楽天Koboの比較

アプリで読める電子書籍は運送業の人手不足対策になる

インターネット通販が普及して便利に買い物を楽しめるようになった一方、宅配便業界の人手不足が深刻化しています。2017年3月には、「ヤマト運輸が一部時間帯の配達を中止し、約27年ぶりに料金を値上げすることを検討している」と報じられました。

インターネットは単なる通信手段ですから、さすがに衣料品や食品といった物を運ぶことはできません。ですが、映像や音楽のようなソフトウェアであれば、インターネット回線で送受信することが可能です。

紙の本は意外と重く、ネットで注文すると配達員の負担になります。ですが、ネット上でデータを購入できる電子書籍を使うことで、運送業の負担軽減につながりますし、消費者にとっても「欲しい本が瞬時に手元に届く」というメリットがあります!

電子書籍に専用端末は必要ない

ただ、「電子書籍を読むためには、Kindleや楽天Koboのような専用端末が必要である」という誤解が根強いのではないでしょうか? 実は、電子書籍はスマートフォン・タブレットのアプリを使って読むことができます

Kindle端末はAmazon、楽天Kobo端末は楽天で購入した電子書籍しか読めませんが、スマートフォン・タブレットならば複数の「電子書籍ストア」を比較して使い分けることが可能です。

特に、10インチの大画面タブレットであれば、大きな文字で電子書籍を表示できますから、目が疲れにくいと考えられます(そのかわり、タブレットはスマホと比較すると重いので腕が疲れますが)。

そこで今回は、画面サイズ10.1インチのAndroidタブレット・dtab d-01Hを使い、Kindleと楽天Koboの電子書籍アプリを比較してみます!

電子書籍は「消える」のか?

その前に、「紙の本と違い、電子書籍は購入しても『消える』ことがあるのではないか」という疑問にお答えします。

結論を先に述べれば、電子書籍は消えることがあります。電子書籍が「消える」のは、次のような場合です。

  • 電子書籍ストア自体が閉店した
  • 出版社や著者の意向で絶版になった
  • 法的な問題により販売できなくなった(裁判所による出版差し止め命令など)

まず、電子書籍は「ストア」ごとに規格が異なり、あるストアで買った電子書籍はそのストアに対応した専用端末・アプリでしか読むことができません。Kindleや楽天Koboが代表例ですね。

ただ、メールアドレスごとの「アカウント」と購入履歴が結び付けられますので、電子書籍ストアが存続している限りは「パソコンで買ってタブレットで読む」といったように、同じアカウントで複数のデバイス(機器)を使って電子書籍を読むことができます。機種変更後に購入済みの電子書籍を再ダウンロードすることもできます。

一方で電子書籍ストアが閉鎖してしまうと、そのストアで新たに電子書籍を購入したり、ダウンロードしたりすることはできなくなります。実際に、「エルパカBOOKS」「BookGate」などの電子書籍ストアが閉鎖しました。こちらの記事が詳しいです。

電子書籍は「なぜ」消えるのか?--世間にはびこる俗説を斬る - CNET Japan

ただ、Amazon Kindleや楽天Koboの大手であれば、絶対にないとは言い切れませんが、ストア自体が閉鎖する可能性は比較的低いと思います。

また、ストア閉鎖・絶版などが起きても端末・アプリに保存済みの電子書籍は読み続けられることは、先ほどのCNET Japanの記事に記載されている通りです。

それでも、ストア閉鎖・絶版の際は電子書籍をダウンロードした端末が壊れたり、機種変更したりした場合は電子書籍を再ダウンロードできなくなるのは事実です。

お金は余計にかかってしまいますが、「一度しか読まない本は電子書籍で買い、何度も読み返す必要があれば紙の本を買い直す」という形にしてはいかがでしょうか。

洋書・ビジネス書が充実したKindle

Kindleは無料サンプルを読める

まず、Google PlayまたはApp StoreからKindleアプリをダウンロードして起動します。同じスマートフォン・タブレットで既にAmazonにログインしている場合は、下の画面のようにユーザーの名前が表示されており、パスワードを入力せずに利用開始できます。

Kindleアプリのログイン画面

この後、「アカウントの同期」「お好きなジャンルの選択」「サンプルのダウンロード」などの画面が表示されますが、「次へ」をタップして大丈夫です。

Kindleアプリのログイン画面

アプリの画面左側にあるタブから「ストア」を選択すると、普通のAmazonと同じように商品を検索して購入できます。

また、上の写真の、緑色の表紙の下に「サンプルをダウンロード」と書かれていることにご注目ください。Kindleでは購入前に無料サンプルをダウンロードできるのです! 私が調べた限りでは楽天Koboには無料サンプルはありませんでしたから、この点は楽天Koboと比較した際のKindleの大きなメリットですね。

紙の本と電子書籍の比較

では10インチタブレットを使ってAmazonのKindleアプリで電子書籍を読んでみます。デール・カーネギーの「人を動かす」を、文庫本とKindleアプリで比較します。

文庫本とKindleアプリの「人を動かす」

タブレット端末が文庫本と比較すると大きいですが、本文のレイアウトは自動的に最適化されます。

文庫本とKindleアプリの「人を動かす」本文

タブレットでは「ブルーライトカット」機能を利用しており(Kindleアプリの機能ではありません)、目に負担をかけずに読書できます。ブルーライトをカットすると画面が黄色っぽくなってしまいますが、この写真を観る限りでは紙の文庫本と比較しても違和感がありませんね。

Kindleアプリ ハイライト機能

このように気になった箇所に「ハイライト」(マーカー)で線を引いたり、メモを追加したり、「ブックマーク」(しおり)を挟んだりすることも可能です。

Kindleアプリ キーワード検索

本文をキーワード検索して、該当するキーワードがあるページを見つけることもできます(上の画像は「リンカーン」で検索したもの)。

1ページごとに画面をスワイプ(なぞる動作)するか、画面の端をタップしてページをめくらなければならないのがやや面倒ですが、紙の本と比較して読みにくいということはありませんでした。本を汚さずに「ブックマーク」「ハイライト」も使える点は、従来の書籍と比較して便利ですね。

レイアウト・読みやすさは楽天Koboと大差ない

今回はKindleと楽天Koboを比較しますが、はっきり言ってレイアウトや読みやすさ、操作性はどの電子書籍アプリでもあまり変わりません。電子書籍専用端末を比較すると操作性が違うのかもしれませんが、少なくともスマートフォン・タブレットのアプリではそこまで大きな違いはないはずです。

「ブックマーク」する機能は標準搭載されていますし、購入した電子書籍が揃う「ライブラリ」(本棚)にも比較するほどの大きな差はないと思います。

では何を比較できるかと言えば、品揃えと割引サービスです。正確な冊数はわかりませんが、Kindleは洋書とビジネス書が充実しているといった印象です。

KindleではAmazonポイントとギフト券を、楽天Koboでは楽天スーパーポイントとラ・クーポンを使えますから、欲しい電子書籍がどちらのストアにもある場合は、ポイント・クーポンが余っているほうで購入するのがおすすめです。

割引が多く漫画が豊富な楽天Kobo

次に楽天Koboを使ってみます。今回はパソコンで「楽天Kobo電子書籍ストア」にアクセスします。楽天Koboの電子書籍もスマートフォン・タブレットから購入できますが、パソコンのほうが検索しやすいためです。

楽天Kobo電子書籍ストア: 漫画・小説がアプリで今すぐ読める!

楽天KoboはKindleと比較すると漫画が充実しているという印象ですね。普通の楽天市場と同じように、検索結果ページか商品の詳細ページで「買い物かごに入れる」を選び、購入ページに進みます。

Kobo利用規約

初めて楽天Koboの電子書籍を購入する場合は、このように利用規約への同意を求められます。「上記に同意する」ボタンをクリックしましょう。

次に、通常の楽天市場と同様の購入画面になります。楽天Koboは性別に応じて特定の曜日に10%割引を受けられる「レディスデー」「メンズデー」などの割引クーポンが豊富に提供されていますが、ほとんどのクーポンは併用不可(1回の注文で1種類のクーポンしかしか使えない)です。

では、Kindleと同様にGoogle Play・App Storeから楽天Koboアプリをダウンロードして起動しましょう。

楽天Koboアプリ  ログイン画面

同一のスマートフォン・タブレットで楽天にログインしている場合は、パスワードを入力せずに楽天Koboを使えます。

Androidアプリの場合は次に「楽天リワード」の利用について尋ねられますが、これは電子書籍を読むだけでポイントをもらえるサービスですので、登録しておくことをおすすめします。楽天ID・パスワードの再入力が必要です。

「乙嫁語り」単行本とタブレット

今回購入した楽天Koboの電子書籍は「乙嫁語り」という漫画です。この漫画は19世紀の中央アジアが舞台であり、民族衣装などの描写が非常に緻密です。

というか、タブレットの楽天Koboアプリに表示されている表紙が紙の本に隠れてしまっていますね。調べてみたところ、この単行本の大きさは182mm×128mmの「B6版」です。B6版の漫画単行本は10インチタブレットで表示すればちょうど良い大きさになるようです。

「乙嫁語り」ページを単行本と楽天Koboアプリで比較

先ほども述べたようにこの漫画は描写が比較的緻密ですが、タブレットの楽天Koboアプリでも問題なく表示されました。

楽天Koboアプリ「乙嫁語り」見開きページ

このように、スマートフォン・タブレットの画面を横向きにすることで、2ページを1画面に表示する「見開き表示」にすることができます。漫画の場合は見開きページで臨場感を表現することが多いですから、必須の機能ですね。ただ、文字と絵が小さくなりますから、普段は縦表示で1ページずつ読むことをおすすめします。

漫画の電子書籍はやや不便?

これはKindleまたは楽天Koboのアプリの問題というわけではありませんが、漫画の場合は文章中心の電子書籍と比較するとキーワード検索できないことがデメリットです。「印象的な登場人物のセリフがどのページだったか調べる」ということは不可能だと思います。

また、光回線にWi-Fi接続している場合でも、漫画の電子書籍はダウンロードに数分かかります。もちろん紙の本を注文することと比較すれば格段に早いのですが、文章だけの電子書籍を瞬時にダウンロードできることと比較すると、ちょっと不便かなと思います。

それでも、本の置き場所が必要なくなりますし、読みたくなったらすぐに漫画を買えることは紙の本と比較した場合の電子書籍の大きなメリットです!

出典・関連商品の販売

今回取り上げた書籍の出典元は以下の通りです。

  • D・カーネギー著、山口博訳「人を動かす【文庫版】」創元社、2016年、ISBN 978-4-422-10098-2
  • 森薫著「乙嫁語り 1巻」エンターブレイン、2012年、ISBN 978-4047260764

いずれもAmazonのサイトですが、次のページからお求めになれます。Kindleアプリに対応した電子書籍も同じページで販売されています。

また、電子書籍を大画面で読むなら、Huaweiの10インチタブレットがおすすめです! こちらの画像をクリックすると、販売ページに移動します。

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