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iPhoneは初心者向け? 人によってはAndroidのほうが簡単

高齢のAndroidユーザーがiPhoneに乗り換えた結果

今回はちょっとした小ネタの話です。突然ですが、皆さんはiPhoneとAndroidスマートフォンの違い、それぞれのメリットとデメリットがおわかりになりますか?

本体価格・月額料金とデザインは使い方や個々人の好みによって異なりますから、除外しましょう。まず、Androidのメリットは「ホーム画面変更など、カスタマイズしやすい」ことですね。一方で設定が複雑であることがデメリットです。

iPhoneはカスタマイズ性が低いことがデメリットですが、その分「セキュリティが高く、操作が直感的で初心者でも理解しやすい」ことがメリットでしょうか。最近はあまり聞きませんが「スマホ版らくらくホン」と揶揄されることもあります。

ただ……iPhoneは本当に「初心者でも使いやすい」のでしょうか? 実は私も「日本ではiPhoneのほうが売れているし、操作が簡単なのだろう」と思っていました。

今回、同居している私の父が「Androidスマートフォン(某日本メーカー製)の性能が悪いので、別のスマホに買い換えたい」と言い出したので、ラクマで中古のiPhone 6 Plusを買ってプレゼントしました。

画面が大きくて見やすく、動作もスムーズであることは(安い中古なのに状態が良好なことも)満足したようです。ただ、「Androidとは使い方が違うから、すぐには慣れそうにない」ということでした。

ホームボタンのみというシンプルさがアダに

ここで強調しておきたいのは、私の父は60代後半ですが、若い頃からマイコン・パソコンを使いこなしており、定年退職するまでは通信機器の開発に携わっていたということです。パソコンやスマホが苦手な高齢者というわけではありません。

また、先ほども述べたように、父は今まで(iPhoneより操作が難しいはずの)Androidスマートフォンを使っていました。

iPhoneでは最初にiCloudアカウントの設定を行うのが一般的ですが、AndroidスマートフォンでもGmailが必須ですから、その点はあまり変わらないと言えます。

ただ、指紋認証を行うTouch IDの設定は苦労しました。「指をホームボタンに当てて離す作業を繰り返してください」などの説明が理解しにくかったようで、私が父の手をつかんでホームボタンをなぞらせました。

最初は右手の親指だけを登録しましたが、人差し指でホームボタンを押すことも多かったため、私が設定画面を操作して人差し指もTouch IDに追加登録しました。

さらに、「ホームボタンを押して画面ロックを解除してください」と言ったところ、ホームボタンを長押ししてSiriを呼び出してしまうことが多く、「一瞬だけ押してください!」と何度も言い直しました。

ホームボタン関係で言うと、「素早く2回押すと起動したアプリ一覧を表示でき、上にスワイプすると終了できる」ということも教えたのですが、2度続けて押すという動作が難しくなっているようで、何度も失敗してしまいました。

もしもAndroidのようにボタンが複数あれば、これほど苦労することはなかったでしょうね。写真のGALAXY S5の場合、ホームボタンの左右にタッチ式のバックボタンとタスクボタンがあります。

GALAXY S5

WindowsユーザーにはAndroidのほうが簡単なのではないか?

繰り返しますが、私の父は公私ともにコンピューターには詳しいですから、よくいる機械が苦手な高齢者ではありません。

これだけ苦労したのは、第一にはAndroidスマートフォンに慣れていたから……というのは確かだと思います。

Androidスマートフォンは操作が複雑かもしれませんが、ユーザーによる自由度が高いですね。言い換えれば、iPhoneはセキュリティを重視するあまりおせっかいになっているのだと思います。

機種によりますが、多くのAndroidスマートフォンはパスコードや指紋認証の設定をスキップできます。Google Playの審査は緩く、面白いアプリが揃っています。そのかわりユーザーが危険にさらされても「自己責任」です。

一方のiPhoneは、「お客様、そちらは危険です!」と言わんばかりに、ユーザーが自分で意図したわけでもないのにパスコードと指紋認証の設定を求めてきますし、App Storeで新しいアプリをダウンロードするだけでもパスコードかTouch IDが必要です。

面倒なバックボタンを押さなくても、ホームボタン一つでアプリを閉じることができます。つまり、Androidユーザーを「あれ、バックボタンはどこだ?」と悩ませることになるのです。

もちろんiPhoneに慣れれば使いやすくなるのは言うまでもありませんが、安全性・快適性のための「おせっかい」がかえって操作を難しくしているような気がしますね。

もう一つ付け加えるとすれば、父が「MacよりもWIndowsのほうがいい」と言っていたことです。

私はMacを使ったことがないので憶測になってしまいますが、MacもiPhoneと同じように自由度が低めで、セキュリティを重視しているのではないでしょうか?

そして、WindowsはAndroidと同じようにセキュリティの設定を自分自身で行わなければならず、何もしなくても良いかわりに「自己責任」です。

フォルダ(ディレクトリ)の構造は複雑ですし、カスタマイズしたいとなると、古いバージョンでは「レジストリ」を操作する必要もありましたね。

このように考えて見えてくるのは、「Android・WIndowsは複雑だが、『機械』としての構造がわかりやすいので、機械の操作に慣れた人にはかえって使いやすい」ということです。

マニュアル車(Android・Windows)に慣れた人がオートマ車(iPhone)に乗り換えると、かえって難しく感じる……ということによく似ています。

海外のニュースサイトですが、「Androidユーザーはギーク(オタク、コンピューターマニア)が多い」という記事もありましたね。本当にその通りだと思います。シンプルなiPhoneなんて、自分自身で好きなことを設定できなくて難しいですから……。

少なくとも「スマホ版らくらくホン」ではない。店員か家族の助けが必要

今回の件で印象的だったのは、ガラケーのらくらくホンを使っている母が「お父さんでも苦労するのだから、私がスマホを使えるわけがない」と言ったことです。私(息子)も父のiPhoneを設定しながらまったく同じことを考えていました!

iPhone 3Gなど初期の頃は確かに(強制的な)設定項目が少なかったでしょうし、Androidと比較してUIが直感的に理解できることは間違いありませんが、結局は「慣れがすべて」です。

少なくとも、iCloudやTouch IDなどの初期設定は店員か家族が手伝わなければなりませんし、Windowsに慣れた人ならばAndroidのほうが簡単に操作できるのは先ほど書いた通りです。

実際に、長年WIndowsを使い続けてきた父は、Androidスマートフォンは難なく使いこなせていましたから……。

まとめると、以下のようになります。

  • 「初めてのスマホ」にiPhoneはおすすめだが、らくらくホンと比較すると難しい
  • 機械いじりかWindowsに慣れた人ならば、Androidスマホのほうがかえって簡単である

iPhoneとAndroidだけを比較すれば、「iPhoneは初心者向けである」ということは確かです。ただ、誰でも使いやすいというわけではなく「スマホ上級者にはiPhoneは使いにくい」ようですね。

よって、この記事のタイトルにあるように「iPhoneは初心者向けだが、人によっては(上級者にとっては)Androidのほうが簡単である」という結論になります。

論点が曖昧になってしまったかもしれませんが、高齢のご家族をAndroidからiPhoneに乗り換えさせようとしている方の参考になれば幸いです。

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