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Huluユーザー数が2017年5月17日のリニューアルで減少

クレームが殺到したHuluのリニューアル

日テレ買収後初のユーザー数減少

有料動画配信サービスのHulu(フールー)は2017年5月17日に大規模なリニューアルを行いましたが、リニューアル後に動画を正常に再生できないというエラーが多発しました。

特に、Androidスマートフォン・タブレットや、HDMI端子以外でパソコンと接続した外部ディスプレイでHuluの動画を再生しようとすると「接続エラーが発生しました。もう一度再生して下さい」というメッセージが表示されるだけで、一切動画を視聴できませんでした。

詳しい経緯はこちらの記事にまとめられています。

さらに、2017年7月31日の記事(日テレホールディングスの2017年度第1四半期決算を引用)によると、日本のHuluは、2014年4月に日本テレビ傘下となって以来初めてユーザー数が減少したとのことです。

Hulu、日テレが取得後初の会員数純減 - PHILE WEB

2017年6月末のHulu会員数は、3月末より3,783人減少して1,547,812人となったことがわかります。

これまでの会員数の推移は大まかなグラフのみで、正確な数字は記載されていません。過去の決算説明会の資料も読みましたが、会員数は見当たりませんでした。

ですが、2014年3月末に約60万人だった日本のHulu会員数は3年で約2.5倍となるほどの右肩上がりですから、リニューアルによる不具合の影響は明らかですね。決算資料でも言及されています。

さらに、「2017年7月に、不具合が発生したユーザーに対して1ヶ月分のHulu無料利用権または1,000円分のAmazonギフト券を提供する」旨が発表されました。

Hulu、システムリニューアル時に発生した不具合で1カ月視聴チケットなどを提供 - CNET Japan

私もHuluで不具合が発生したのでAmazonギフト券を申請し、8月4日の正午にメールで届きました。

なお、現在は上記の返金対応の受け付けは終了しています。

なぜHuluはリニューアルした?

Huluがリニューアルされた経緯については、少し複雑なところがあります。

まず、Huluは本来アメリカのサービスですが、2011年8月31日に日本に参入しました。2017年5月現在、Huluが提供されているのは全世界でアメリカと日本だけです。

余談ですが、Hulu最大のライバルであるNetflixは、中国・北朝鮮・シリア・クリミア半島を除く全世界でサービスを提供しています。

Where is Netflix available?

Huluの話に戻ります。Huluは元々アメリカのみでサービスを提供していましたが、日本進出後の業績は芳しくありませんでした。

そこで、2014年2月から4月にかけて「日本テレビ」が日本のHulu事業を継承し、完全子会社の「HJホールディングス合同会社」を設立しました(「完全子会社」とは100%の株式を他社が保有する株式会社で、合同会社は該当しませんが、便宜上このように記述します。HJホールディングス合同会社は2017年4月に株式会社に組織変更したため、正式に日テレの完全子会社になりました)。

2017年5月17日のリニューアルの目的は、日本のHuluをアメリカのHuluから分離し、日本独自のシステムを構築することであると役員が述べています。

【西田宗千佳のRandomTracking】日本オリジナルHuluとはなにか? 於保社長に聞く、顧客満足度最優先と日テレ連携 - AV Watch

ただ、リニューアルは本来2017年2月に予定されていたものなので、約3ヶ月遅れたことになります。

リニューアルで何が変わった?

Huluのリニューアルによる変更点は次の通りです。

  • 日本独自システムへの移行
  • ドメインの変更
  • 画質がHDからFHDに向上
  • プロファイル機能の追加(1アカウントを家族で利用可能)
  • スマートフォン・タブレットによる生放送視聴が可能に(BBC World Newsなど)

まず、ドメインがhulu.jpからhappyon.jpに変更されました。happyonとは「Happy on Hulu」という意味ですが、「『はっぴょん』と読めるので、ダサい」「英語の文法的におかしい」という批判もネット上に投稿されています。

ドメイン変更の理由は「日本でHuluというサービス名を使わなくなるからでは?」と言われていますが、日本の運営会社は否定しています。

残る3項目「画質がFHDに向上」「プロファイル機能の追加」「生放送視聴が可能に」はいずれも大きく改善された点ですね。

それでもHuluを契約し続ける理由

これほどの不具合が多発したHuluですから、「リニューアルを機に解約した」「NetFlixに乗り換えた」という方も多いでしょう。私の環境でもエラーが発生しました。

私はHuaweiのMediaPad M3というAndroidタブレットでHuluを視聴しています。5月17日のリニューアル当日は新アプリで動画を視聴できなかったため、旧アプリで視聴しました。

18日以降は旧アプリを起動せずアンインストールしたので詳細がわかりませんが、Androidの新アプリでは前述のエラーが表示されたため、iPhone 6sの新Huluアプリで視聴しました。

iPhone(iOS)版ならば正常に動画を再生できましたし、Chromecast経由でテレビで視聴することも可能でした。

もうMediaPad M3のようなAndroid端末でHuluを観ることはできないのか……と諦めていましたが、5月22日の午前9時頃にGoogle PlayでHuluアプリを更新したところ、正常に視聴できるようになりました

2017年8月現在も、私はHuluを解約せずに契約し続けています。それはHuluならではのメリットがあるからです。

まず、ライバルVOD(ビデオオンデマンド)であるNetFlix・Amazonプライムビデオと料金・画質等の比較を行いましょう。

有料VODサービスの比較(2017年8月)
 HuluNetFlixAmazonプライムビデオ
ベーシックスタンダードプレミアム
月額料金(税込)1,007円702円1,026円1,566円400円
※年払いなら月あたり325円
最高画質FHD 1080pSD 480pFHD 1080pFHD 1080p
または UHD 2160p
FHD1080p
または UHD 2160p
同時視聴可能数11243
ダウンロード不可
配信作品数約3万約3,000?約2.3万
生放送CNN、BBC Worldなどなしなし

いずれも、iPhone・iPad・Android・Chromecast・Fire TV Stickで視聴可能です(一部対象外の機器があります)。

追記(2020年6月)

なお、上記の表は2017年8月時点のものです。当時のデータを記録として残しています。

その後、Huluもダウンロードに対応し、定額で視聴できる動画数は6万本以上となりました。

また、Huluの税込月額料金は消費税率10%への引き上げに伴って月額1,026円となっています。

料金・画質

料金だけ見れば、年間払いで税込み325円になるAmazonプライムビデオの圧勝ですね。しかも、正確に言えば「Amazonプライム会員費」なので、ショッピングサイトのAmazonの「お急ぎ便」や、Amazon Prime Musicまで利用できます。

ですが、NetFlixと比較してHuluが高すぎるということはありません。なぜならば、NetFlixベーシックプランは料金こそ702円とやや安いものの、480pのSD画質であるからです。

画質は「1080p」などの数字が大きくなるほど良くなります。1080pというのは、「地上デジタル放送と同じくらいの画質」です(正確には、地デジは「1080i」です)。

一方で、480pはアナログ放送とほぼ同等ですから、「昔のアニメをスマホでしか観ない」という場合を除けば、ちょっと粗く感じるかもしれません。

この中では「UHD 2160p」のNetFlixプレミアムプランとAmazonプライムビデオの画質が最も良いのですが、最高画質になるのは4K対応テレビだけですから、メリットがある方はまだ少ないでしょう。

Huluは月額1,007円で画質はFHDの1080pですから、比較的良くも悪くもない、無難な価格設定であると言えるでしょう。

同時視聴可能数

NetFlixのスタンダード・プレミアムプランとAmazonプライムビデオでは、同時に複数の機器で動画を再生することができます。

たとえば、「一家で一つのアカウントだけ契約し、夫は会社のスマートフォンで、妻と子は自宅のテレビで、まったく同じ時間に別々の動画を観る」ということが可能です。

Huluでも1契約で家族一人ひとりの「プロフィール」を作ることはできますが、同時に再生できるのは1つの動画だけです。これはちょっと痛いですね。

ダウンロード

NetFlixとAmazonプライムビデオは、動画をスマートフォン・タブレットにダウンロードして視聴することができます。

どういうことかと言うと、「外出中にスマートフォンで通信すると料金が高くなるから、あらかじめ自宅のWi-Fiで動画をダウンロードしておこう」ということができるんですね。

Huluにはこの機能もありません。「外出中は忙しいから、自宅でしか動画を観ない」という(私のような)人以外には、ちょっと不便ですよね……。

(2020年6月追記…前述のように、現在はHuluでもダウンロード再生が可能です)

配信作品数

作品数だけはHuluの圧勝です。3万作品が追加料金なしで見放題ですから、表に挙げたサービスの中では最も多いですね。

(2020年6月追記…現在はさらに増えて6万本以上です)

配信されている動画の本数は各サービスの公式サイトに明記されていないため、 動画配信比較 料金,本数,画質 (Netflix,hulu,dTV,U-NEXT) | くらしのメモ というサイトを参考にしました。

ただ、さすがにNetFlixの本数が3千というのは少なすぎますよね? この数字が間違っていて、実際は2万くらいありそうな気がしますが、正確な本数は公表されていません。

作品のジャンル

Huluのメリットとしてよく挙げられるのは、HBOと日本独占契約を結んでいるということですね。NetFlix・AmazonプライムビデオでHBO作品を視聴することはできません。

(2020年6月追記…現在はHuluのHBOとの独占契約は解消され、AmazonプライムビデオなどでもHBO作品を視聴できます)

HBO(Home Box Office)はアメリカのケーブルテレビ局・番組制作会社で、国家間の争いを描くファンタジードラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」(略称・GoT)が特に有名です。

ただ、HBO以外の洋画・海外ドラマならばNetFlixなどでも視聴できます。Huluの特徴は、日本の映画・ドラマ・アニメ・バラエティを数多く視聴できることではないでしょうか?

Huluは日本テレビ傘下ですから、「ガキ使」「笑点」など、日テレ系のドラマ・バラエティが多く配信されるのも魅力的ですね。

私は奈良県在住なので、地上波では視聴できない「ぶらり途中下車の旅」をHuluで楽しんでいます。

また、意外にも「孤独のグルメ」「勇者ヨシヒコ」「おそ松さん」「けものフレンズ」のように、日テレ系以外の作品の多くもHuluで視聴できます(先ほど挙げたのは全てテレビ東京系ですが、もちろん他の民放やNHKの作品もあります!)。

生放送

これもHuluにしかないメリットです。Huluでは、2017年5月のリニューアル前後に「BBC World News」「CNN」「日テレニュース24」などのリアルタイム(生放送)チャンネルが多く追加されました!

「海外のニュースを観るために衛星放送・ケーブルテレビを契約している」というあなたにとっては、月額税込1,007円(2020年10月に改定され税込1,026円)のHuluはお得ですよね!

ただし、2017年8月現在、リアルタイムチャンネルはパソコン・スマートフォン・タブレットでしか視聴できず、Chromecastなどを使ってテレビで再生することはできません(2020年6月追記…現在はHuluの生放送もChromecast等で再生可能です)。

まとめ…やっぱりリニューアルして良かったHulu

リニューアル直後はエラーが多発してどうなることかと思いましたが、画質の向上やリアルタイムチャンネルの追加など、今にして思えばHuluはリニューアルして良かったです。

以前は「動画・テレビ番組なんて無料で充分。お金を払うのは無駄」と考えていましたが、好きな時間にCMなしで6万本以上の動画を見放題というHuluのメリットはものすごく大きいですね。

「どんな作品があるのかわからない」というあなたも、入会前に公式サイトで作品を検索できます!

また、2週間の無料お試し期間がありますから、お持ちのスマートフォン・タブレットが対応しているか確認することもできますよ。

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