0SIM終了の思い出 2015年12月25日、雑誌「デジモノステーション」の付録に
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このページは2016年1月9日に投稿した内容を一部編集したものです。So-netモバイル(現nuroモバイル)が提供する0SIMは既にサービス終了しています。
目次
- 2015年のクリスマス、とんでもないSIMが登場
- 0SIMの利用開始設定
- 雑誌「デジモノステーション2016年2月号」の内容は?
- 2016年1月26日、0SIM正式サービス開始
- 2020年8月31日に0SIM終了(2023年11月27日追記)
2015年のクリスマス、とんでもないSIMが登場
2015年12月25日、思いがけないクリスマスプレゼントが登場しました。
一見、デジタル機器を紹介する雑誌ですが、この「デジモノステーション 2016年2月号」が他の雑誌とは異なるのは「0 SIM by So-net」という大手プロバイダー・So-netと提携した格安SIMが付録になっていることです。
格安SIMはいわゆる「格安スマホ」の通信機能を担う部品です。この0SIMはSIMのみでスマートフォン・タブレットは付属していませんから、オークションで中古を落札するか、SIMフリー(SIMロックフリー)の機種を購入するかして自分で用意しなければなりません。
2023年11月27日追記
2016年1月時点でもDMM mobileやFREETELなど複数のMVNOが「SIMとスマホのセット」を販売していましたが、当時の私は「MVNOのSIMは中古スマホとセットで使うものだ」と思い込んでいました。
格安SIMは数多くリリースされていますが、雑誌・デジモノステーション付録の「0SIM by So-net」は何が違うかと言えば、
- 通常は税込3,240円の初期費用が0円。税込620円の雑誌を買うだけで格安SIMを手に入れられる
- 月間のデータ通信量が500MB以内ならば、月額利用料は0円になる。その後は従量制だが、税抜1,600円で5GBまで使える
ということです。つまり毎月のデータ通信量が500MB以内なら初期費用620円以外は1円も払わずに使い続けられるのです! 「格安SIM」どころか驚きの「0円SIM」です。
私は雑誌発売当日の2015年12月25日・正午頃に、「0SIM by So-net」が付録の「デジモノステーション 2016年2月号」の存在を匿名掲示板で偶然知りましたが、既にAmazon.co.jpでは品切れになっていました。
慌てて自宅近くの「ダイエー富雄店」(奈良県奈良市)の書店に向かうと、一冊だけ「デジモノステーション」が残っており、運良く購入することができました。
2023年11月27日追記
ダイエー富雄店は2016年3月30日に「イオン富雄店」に改称され、2019年10月31日に閉店しました。ローカルすぎる情報なので再編集にあたり店舗名の削除を検討しましたが、店舗の統廃合に関する貴重な情報と判断し掲載を続けます。
しかし、ユーザーが広告を見る必要がない0円の通信サービスは採算が取れませんから、長続きするとは思えません。なぜSo-netと「デジモノステーション」が0SIMの企画を行ったのかも不明です。根拠はありませんが、一年くらいでサービス終了するのではないでしょうか。
もちろん、終了したら他社に乗り換えれば良いですから、それまでは0SIMを使い続けます。
2023年11月27日追記
後述のように、0SIMは2020年8月31日にサービス終了しました。2015年12月25日から約4年8ヶ月も続いたのは予想外です。
「たった500MB」か、それとも「500MBもある」か?
さて、「0SIMで使えるデータ通信量はたった500MBだから、すぐにオーバーするだろう。普通の格安SIMのほうが良いのではないか?」とお思いになる方もいるかもしれません。
ですが、私の場合は500MBでも多すぎます。なぜならば
- 私は通話を従来型携帯電話(ガラケー)で行うため、スマートフォンはデータ通信専用である
- 私は在宅が多く、自宅では必ずWi-Fiにスマートフォンを接続するため、LTE/3Gのデータ通信量はほぼゼロ
だからです。
ただ、SIMカードがなければスマートフォンにエラーメッセージが表示されるため、今までは月額約500円の格安SIMを利用していました。それでも高く感じましたが、今回、0SIMにより一層お得になりました。
スマートフォンはまったく操作しなくても勝手に通信を行ってしまいますから、Wi-Fiに接続できない場所にいることが多いと、すぐに500MBに達してしまいそうですね。ですが「機内モード」に設定することで、通信を完全に遮断できます。通話とメールもできなくなりますが、通話用の携帯電話(ガラケー)を持っていれば問題ありません。
会社員や学生の方であれば、外出中に動画を観たりゲームをしたり、資料の送受信を行ったりしてデータ通信する機会が多いでしょうから、0円ではなく普通の格安SIMのほうが良いかもしれません。しかし、在宅フリーランスや主婦の方なら、Wi-Fiと機内モードの活用で0SIMを使いこなすことができます。
2023年11月27日追記
2016年1月時点では上記のようにウキウキで「私はほとんど家から出ないので500MBも使わないんです!」と述べていましたが、2021年4月頃からはQRコード決済や電子書籍、漫画アプリの使用が増えて500MBでは足りなくなっています。それでも月1GB以内であることがほとんどです。また、2016年10月頃からは「ガラケー」の使用をやめて、スマートフォンのデュアルSIMを使い始めました。
雑誌の付録ではなく一般販売される可能性も!?
ただ「入手困難な0SIM付き雑誌を手に入れました!」と書くだけでは、自慢にしかなりませんが、0円SIM「0SIM by So-net」は、一般販売される可能性があるのです。
ITmedia Mobile「ふぉーんなハナシ」によると、0SIMの提供元であるSo-netのサイト上に、今後の正式サービス開始を前提とした規約集が存在しています。
ふぉーんなハナシ:月額0円から始まる「0 SIM by So-net」は単なる“オマケ”では終わらない(かもしれない) - ITmedia Mobile
実際に私もSo-netサイトのPDFファイルを確認しましたが、デジモノステーション付録の0SIMと同一のプランのほかに、音声通話と500MBまでの通信ができる月額・税抜700円のプランもありました。データ通信が少ないガラケー風スマートフォン「ガラホ」を用意すれば、通話可能な携帯電話を格安で持てそうですね!
0SIMの利用開始設定
普通の格安SIMは「使い始めたが月の途中だと、日割にならず1カ月分の料金が請求される」ことがあります。しかし0SIMは月額0円ですから、いつ利用開始しようが関係ありません。早速、購入当日の2015年12月25日に使い始めることにしました。
docomoから販売されたスマートフォンであれば、ショップでSIMロック解除などの手続きをすることなく、スマートフォン本体のスロットにSIMを挿入するだけで、すぐに使い始められます。
ただ、この「0SIM by So-net」は現時点でもっとも小さいnanoSIMという規格のSIMカードで、スマートフォン・タブレットが対応していなければ利用できません。ですが、アダプターを使えばSIMカードの大きさを変えられます。私は予備のアダプターを持っていたため、雑誌の購入当日に0SIMを使い始められました。
2023年11月27日追記
nanoSIM非対応のスマートフォンは2017年まで多く存在しましたが、2018年以降は毎年1、2機種しか発売されていません。
アダプターと言っても、SIMカードを載せるだけのプラスチック製の皿です。写真には3種類のアダプターが写っていますが、私のスマートフォン、LG・docomoのOptimus Vu: L-06DはmicroSIM対応ですので、今回は一番上の「nanoSIMをmicroSIMに変換するアダプター」だけを使います。他は、nanoSIMを従来型携帯電話で使われていた通常SIMの大きさにするアダプターと、microSIMを通常SIMにするアダプターです。
余談ですが、このアダプターはパッケージの右下に赤いスタンプ風の文字で「FREE」と書かれていますね。見たところ中国本土で使われる漢字・簡体字が記載されていますし、上海あたりの電気街で無料配布されているのでしょうか?
このようにnanoSIMをアダプターにセットしたら、スマートフォンから古いSIMカードを取り外して0SIMを差し込みます。念のため、古いSIMを0SIMに入れ替える際は電源を切っておきましょう。
Optimus Vu: L-06Dに0円SIMを差し込んで電源を入れ直したところ、このようにドコモサービスを設定する画面が表示されました。設定して先に進みます。
まず、雑誌の記載通りにAPNを設定します。機種により多少異なりますが、Androidの場合は「Androidの設定」画面から「無線とネットワーク」の欄にある「その他...」をタップして、「モバイルネットワーク」を選択します。次の画面で「アクセスポイント名」を選び、スマートフォン本体のメニューボタンを押して「APNの追加」をタップすればAPN設定できます。
APN設定後にブラウザを起動して適当なページに移動すると、上のようなアクティベート画面になります(雑誌に記載されたURLにアクセスしても、同じページが表示されます)。氏名やクレジットカード情報などを入力して会員登録を行います。
会員登録が済むと回線の再接続が行われ、画面右上のアンテナアイコンから「H」「LTE」などの文字が消えて通信できなくなります。数秒後に「H」「LTE」などの文字が再度表示され、無事に0SIMを使える状態になりました。
2015年12月25日金曜日20時59分に自宅でスピードテストしたところ、PING 122 ms, 下り 2.71 Mbps, 上り 0.50 Mbpsという結果になりました。Amazonレビューの他の方の速度と比べると遅いですが、私は動画やアプリのダウンロードなどをWi-Fiで行い、LTE/3GはウェブサイトやSNSの閲覧専用としますから、充分に満足できる速度です。いえ、0円でこれは速すぎます。
注意点は「3ヶ月連続でデータ通信量がゼロだと自動解約される」ことですね。ただ、1バイトでも通信すれば請求金額が3ヶ月連続0円でも自動解約にはならないと、カスタマーセンターに電話で確認済です。
毎日使うスマートフォンならWi-Fiメインでも少しはLTE/3G通信を行いますから、自動解約の心配なく0円で使えそうですね。
雑誌「デジモノステーション2016年2月号」の内容は?
このページは0SIMの話題が中心ですが、「デジモノステーション2016年2月号」のメインは雑誌です。
「デジモノステーション」という名の通りデジモノ、つまり家電やガジェットをレビューする雑誌ですね。2016年2月号には「スティックPC」の特集や「オンラインゲーム・DDONにおける心理学」などの記事が掲載されていました。ちょっと変わった特集として「ガンダムのセイラ・マスがメガネをかけた!」というものもありました。仮に0SIMが付録でなくても、620円という価格は妥当でしょう。
また、0SIMの登録手続きを行うと、歌手のLiSAさんの動画視聴と、2016年3月号から5月号までの3ヶ月分nのデジモノステーション電子版に0円でアクセスできるそうです。何もかも0円で大丈夫か? と心配になりますが、編集部のご厚意に感謝しましょう! 嬉しいクリスマスプレゼントになりました。
「デジモノステーション」とLiSAのその後(2023年11月27日追記)
0SIMを付録にしたことで大きな話題となった雑誌「デジモノステーション」ですが、Wikipediaによると2016年6月号で紙の発行をやめて電子雑誌になり、2020年12月29日発行号で休刊したそうです。0SIM同様に雑誌も終了してしまいました。
デジモノ(ガジェット)レビュー自体の需要がなくなることはないでしょうが、価格.comのレビューやSNS、ブログなどを読めば十分なので、週刊や月刊の雑誌という形態は必要なくなったということでしょう。
そしてデジモノステーション2016年2月号で特集されていた歌手のLiSAですが、2015年12月時点では熱心なファンにしか知られていない印象でした(私個人の感想です)。私は、YouTuberがLiSAについて語っているのを聞いて偶然知りました。
しかし2019年4月にテレビアニメ「鬼滅の刃」主題歌に「紅蓮華」が起用され、LiSAの知名度は急上昇しました。
2019年末には「第70回NHK紅白歌合戦」にも出場し、その後も「鬼滅の刃」劇場版や続編アニメでもLiSAの楽曲が採用されるなど、活躍が続いていますね。
もちろんLiSAは「鬼滅の刃」主題歌以外にも多くの楽曲を手がけるミュージシャンですから、現在も注目を集め続けています。
0SIMばかりフォーカスしてしまう雑誌「デジモノステーション2016年2月号」ですが、当時のLiSAを知る貴重な資料であるとも言えます。
2016年1月26日、0SIM正式サービス開始
0SIMは2015年12月25日発売の雑誌「デジモノステーション2016年2月号」の付録になった後、2016年1月26日に正式サービスが開始されました。
データ専用プランの利用料金は、月間のデータ通信量が500MBまでは無料、500MBから2GBまでは100MBごとに100円が追加され、2GBで上限の1,600円に達し、それ以降も5GBまで1,600円で使えるというものです。なお、5GBを超えても追加料金はなく、低速でデータ通信自体は行えます。
また、データ+SMSプランは150円、データ+音声プランは700円を月額料金に追加すれば使えました。
2020年8月31日に0SIM終了(2023年11月27日追記)
このように大きな話題となった0SIMですが、2020年8月31日にサービス終了しました。こちらはSo-netのプレスリリースです。
「0 SIM」サービス提供終了のお知らせ| お知らせ| So-net
0SIM終了の理由は次のように述べられています。
2015年12月のサービス提供開始以来、MVNOサービス(格安SIM)の認知度向上や端末の複数台利用の需要喚起など利用シーンの拡大に努めて参りましたが、モバイル通信の選択肢が増える中で、一定の役割を果たしたと判断し、サービス提供を終了させていただくことになりました。
https://www.so-net.ne.jp/info/m/2020/op20200217_0006.html
「一定の役割を果たした」のは確かですが、採算が取れないから終了したのは明らかです。
根拠がない憶測ですが、おそらく0SIMサービス開始前は「ユーザーの半数は0円で使うが、もう半分は月1,000円くらい使ってくれるだろう」と予想していたのではないでしょうか?
しかし実際は大半のユーザーが0円で0SIMを使い続け、ユーザー管理だけでもコストが嵩んだためサービス終了せざるを得なくなった……ということでしょう。
楽天モバイルも0円プランを開始し、1年数カ月で終了
0SIM終了翌年の2021年4月には楽天モバイルが「月間データ通信量が1GB以下なら0円、通話も無料」という驚きの料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」を開始しましたが、2022年5月には「0円」終了を発表し、7月1日から1GB以下でも有料になりました(既存ユーザーは、7月から4カ月間は1GB以下なら月額料金と同額分をポイント還元で実質無料)。
当たり前ですが、データ使用量が少ないユーザーはコストばかりかかって儲けにならないのだと思います。
0円SIMは終わらない
0SIMと楽天モバイルの0円プランは終了しましたが、0円SIM自体は生き残っています。auブランドを運営するKDDIが運営する「povo 2.0」です。
このページは過去に存在した0SIMと終了経緯を紹介するものなのでpovo 2.0には詳しく触れませんが、無料でも低速通信が可能で、有料の「トッピング」を購入すれば一定期間の高速データ通信が可能になります。
ただ、povo 2.0はトッピングの購入が意外と面倒なので、私はサブとして使っています。
現在メイン回線にしているのは、日本通信の「合理的シンプル290プラン」です。
こちらは0円ではありませんが、文字通り月額290円(税込、ユニバーサルサービス料別)で1GBまで使える上に、超過しても1GBごとに220円(税込)追加されるだけという合理的プランです。
私は特に不満なく日本通信の「合理的シンプル290プラン」を1年以上使っていますが、0SIMのような「掘り出し物を見付けた!」というワクワク感はなくなりましたね。
いわゆる「格安SIM」も、docomoやSoftBankといった大手携帯電話会社の「サブブランド」と少数のMVNOに集約されつつあり、0SIMのような画期的な新プランは登場していません。
以上、「0SIMが雑誌の付録になった頃はMVNO業界に活気があったなあ」……という、昔を懐かしむ話でした。