このページは2019年9月16日に掲載したものです。文中で示した機能等は、現行のOPPOスマートフォンとは異なります。
OPPO R11sの外見・開封レビュー
日本では2018年2月9日に発売された中国メーカー・OPPOのAndroidスマートフォン「R11s」をレビューします。
OPPOスマホが搭載するColorOSは「iPhone風のAndroid」という独特のインターフェイスを実現しています。使いにくいか使いやすいかは人それぞれですが……気になった部分を集中的にレビューします。
詳細レビューの前に、まずはOPPO R11sの外見を見ていきましょう。

箱です。本体カラーと同じく赤いですね。それなりに高級感があります。
なお、箱は薄いフィルム(シュリンク)に包まれていました。丁寧ですが、ちょっと剥がすのが大変です。

箱に入っていたOPPO R11s本体と付属品です。
充電器、充電用ケーブル、イヤホン、そしてケースと、一通りのものが揃っています。
ただ、OPPO R11sのRed(赤)に付属するのは不透明の赤いケースなのですが、私はクリアケースのほうが好きなので使いませんでした。

OPPO R11sの本体を起動し、設定を終えてホーム画面を起動しました。
なお、画面には既に保護フィルムが貼られていました。親切ですね(ホコリが付きやすいので、別のフィルムに貼り替えましたが)。

OPPO R11sの裏面です(クリアケース取り付け済み)。この写真ではわかりにくいですが、iPhone 7に似たアンテナライン(Dライン)が本体の上下に配置されています。
このアンテナラインは「邪魔」という意見が多いですが、私はむしろワンポイントのアクセントになっていて良いと思います!
指紋認証センサーが裏側にあり、カメラがデュアルになっているところが、iPhone 7(Plusではないほう)とは異なりますね。

OPPO R11sのSIMスロットです。このように、SIMカードは2枚同時に使用できます。
これにより、「通話用SIMとデータ通信用SIMを同時利用する」ということが可能になります。
ただし、片方を3G、もう片方を4G(LTE)にする必要がある「DSDS」であり、4Gを同時使用できる「DSDV」ではありません。
なお、MicroSDカードを使う場合は、SIMカードは1枚しか取り付けられません。

OPPO R11sの充電用端子と、ケーブルです。USB Type-CではなくMicroUSBであることがちょっと残念ですね。
ただ、OPPO独自の急速充電規格である「VOOC」に対応しているというメリットはあります。
このVOOCが本当に優秀で、バッテリー残量が20%の時に充電を始めると、40分程度で80%まで回復します。
OPPOのColorOSはここが「独特」
今回紹介するR11sに限らず、OPPOのスマートフォンは「ColorOS」という独自のOSを搭載しています。
独自OSといってもAndroidをカスタマイズしただけですから、ほとんどの操作はAndroidと共通しています。
ただ、一部のアプリをGoogle Playからインストールできなかったり(何が使えないかは、インストールしようとするまでわかりません)、普通のAndroidとはまったく異なる点もあります。
OPPO ColorOSは「iPhoneのようなAndroid」
文章だけで説明するとわかりにくいかもしれませんが、たとえばOPPOスマホのColorOSには「ドロワー」がありません。
iPhoneの場合、インストールしたアプリは全てホーム画面に配置されて、ホーム画面から削除すると同時にアンインストールされますよね?
一方のAndroidは、インストールした全てのアプリは「ドロワー」に収録されますが、一部だけをホーム画面に表示することも可能です。
R11sなどOPPOのColorOS搭載スマートフォンには、ドロワーがありません。つまりiPhoneと同じくホーム画面に全てのアプリが表示されます。
また、設定画面のデザインがiPhoneに似ていたり、画面上部のステータスバーにアプリのアイコンが表示されないなど、本当にiPhoneを意識したレイアウトになっています。
ColorOSの「フォンマネージャー」は使いにくい
さて、「iPhoneに似た外見のAndroid」が欲しい人……つまり私のような人物にふさわしいOPPO R11sのColorOS。
ですが、明らかに設計がおかしいと言わなければならない点もあります。それは「フォンマネージャー」と強制タスクキルです。
まずフォンマネージャーについて説明します。これは、スマートフォンの不要なファイルを削除して高速化したり、自動起動するアプリを管理したりする機能です。
不要なファイルの削除は別になんということもない機能ですが、「自動機能アプリの管理」は厄介です。わかりにくいと思いますので、一般的なアプリを例に解説します。
たとえば、「NHKニュース防災」アプリをiPhoneまたはAndroidスマートフォンにインストールすると、アプリを起動していなくても自動的にニュース速報が届くようになりますよね? 速報を受け取ることができるのは、ニュースアプリがバックグラウンド(裏方)で動作しているためです。
ところがOPPOのColorOSの場合、基本的にアプリはバックグラウンドで動作することがないので、ニュース速報は届きません。
ヤフオクの通知もChatWorkの業務連絡も自動的には受信できないので、定期的にアプリを開かなければなりません……。
私は問題ありませんでしたが、価格.comには「OPPOスマホではLINEの通知が届かない」という書き込みもありました。
もちろん、アプリを自動起動させることは可能ですが、その手順がまた複雑です。アプリの自動起動に使うのが「フォンマネージャー」です。

わかりにくいですが、ホーム画面の左端に「フォンマネージャー」のアイコンがあります(R11sの場合)。

次に選ぶのは「プライバシー権限」という項目です。
アプリの起動とプライバシーに何の関係があるのかわかりませんが……「アプリを勝手に起動することはプライバシー違反だ」という考え方があるのでしょうか?

次に選ぶのは「起動マネージャー」です。
なお、「アプリのロック」で「暗号化」を行ったアプリは、指紋認証・顔認証を行わなければ起動できなくなります。

この「起動マネージャー」で、自動的に起動するアプリを設定できるのですが……。
よく見ると、アプリごとに「バックグラウンドで自動起動」「ブート時(電話起動時)とバックグラウンドで起動許可」の2種類に分かれていますが、これは違いが曖昧なようです。
さらに、LINEなど5種類(私の場合)のアプリが「オンにすることを推奨します」に分類されている一方、それ以外のアプリは「オフにすることを推奨します」となっていますね。
これらの項目にどんな違いがあるかですが……「オフにすることを推奨」のアプリは自動起動しないことがよくありました。
さらに、TwitterやFacebookは「オンにすることを推奨」されているためか、自動起動を設定していないのに勝手に通知が届きました。
この画面には写っていませんが、下の方にあるChatWorkなどはどうやっても自動起動しないので、メッセージを見逃してしまうこともありました。
OPPOのColorOSでアプリをタスクキルしない方法
さらに困るのは、自動・手動を問わず、起動したアプリが勝手に終了されてしまうことです。タスクキルです。
自動タスクキルを防ぐためには、まず画面左下の □ ボタンを押して、現在起動しているタスク(アプリ)の一覧を表示します。

続いて、「常に起動しておきたいアプリ」を下にドラッグします(R11s以外では操作方法が異なります)。この例では「AquaMail」ですね。すると……。

AquaMailに鍵マークが付きました。これで、自動的にタスクキルされることはなくなります。
……と言いたいところですが、この鍵マークは勝手に外れてしまうことがあります!!
タイミングがよくわかりませんが、バッテリー残量が減って「省エネモード」になった時などに、鍵マークが外れるようです。
こんな機能はiPhoneにも欲しい!
ですが、明らかにOPPOスマートフォンのほうがiPhoneより優れていると言える点があります。以下の5つです。
- 通話録音機能
- 縦長スクリーンショット
- 顔認証と指紋認証の両方を搭載
- DSDS
- VOOC急速充電
R11sなどOPPOスマートフォンでは、着信か自分からの発信かを問わず、全ての通話を自動的に録音してくれます(2025年9月10日追記:現在販売されるOPPOスマートフォンに通話録音機能はありません)。
家族・友人とはLINEを使うことが多いと思いますが、上司や取引先などと電話すると、後で「言った、言わない」が問題になることが多いので、この機能は便利ではないでしょうか?
ただ、アメリカ合衆国ではいくつかの州で通話録音が「プライバシーの侵害」を理由に州法で禁止されており、iPhoneで通話を録音できない原因となっているとのことです。
また、これはOPPOのみならず多くのAndroidスマートフォンが搭載している機能ですが、「縦長のスクリーンショットを撮れる」のも嬉しいですね。
たとえば好きなアーティストのサイトでライブ情報を見た時に、「忘れないようにスクリーンショットを撮っておこう」と思うことがありますが、1画面に収まりきらず、何度かスクリーンショットを撮らなければならないこともありますね。
そんな時に縦長のスクリーンショットを撮れれば、数回に分ける必要はありません。
顔認証と指紋認証を併用できるのも嬉しいですね。
たとえばiPhoneの場合、iPhone 8はTouch ID(指紋認証)、iPhone XはFace ID(顔認証)と、機種により使える生体認証が異なります。その結果、風呂上がりで指紋がふやけていたり、髪型が変わったりすると、うまく認証できません。
それに対して、R11sやAX7(廉価版)などOPPOの大半の機種では、「指紋認証が使えない時は顔認証を使う」、またはその逆も可能です。
2019年発売の「iPhone 11」シリーズも顔認証のみでしたが、指紋認証も復活させてほしいところです。
そして、これはマニア以外には必要ないかもしれませんが、OPPOスマートフォンは基本的にSIMカードを2枚使えるDSDSまたはDSDVに対応しています(詳細は省きます)。
VOOC(ヴーク)という独自規格の急速充電も非常に優秀です。
写真もきれい
スマートフォンのカメラのスペックは「画素数」(要するに撮影できる写真の大きさ)で表されるため、実際の出来具合は、スマホを買って写真を撮らなければわかりません。
たとえば、「画素数は多いのに、写真の色合いがおかしい……」ということもあるわけです。しかし、OPPO R11sで撮った写真は本当にきれいです!
こちらの写真はうちの近所の風景ですが、スマホの写真とは思えないくらい色鮮やかで驚きました。

同じOPPOでもR11sは2倍ズーム程度なのでカメラ性能が高いとは言えませんが、Reno 10x Zoomは10倍ズームができてすごいらしいですね。
いずれにせよ、2018年頃まで”OPPO Camera Phone”というキャッチコピーを掲げていただけのことはあります。
「あのポイント獲得アプリ」を無効化できた!
あまり利用者は多くないと思いますが、「楽天スーパーポイントスクリーン」というアプリがあります。
このアプリ、「広告を表示させると楽天スーパーポイントを獲得できる」(一日5ポイント程度)というものですが、待受画面にも広告が表示されてしまうことが難点です。
iPhoneの場合は待受画面の広告は表示されませんが、Androidだと、指紋認証・顔認証対応でも、ロック解除時に広告が表示されるので本当にイライラします!
ところがOPPOはAndroidそのものではなくColorOSを採用しているためか、待受画面に楽天スーパーポイントスクリーンが表示されず、スムーズなロック解除が可能でした。
本当に些細なことですし、OPPOの開発者が意図した動作ではないと思いますが、ここは本当にR11sを使っていて良かったと思えた部分です。
OPPO R11sのスペックとベンチマーク
遅くなりましたが、OPPO R11sのスペックを見てみましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
発売日 | 2018年2月9日(日本) |
本体カラー | Red, Black, Champagne |
OS | ColorOS 3.2(based on Android7.1.1) |
SoC (CPU) | Snapdragon 660 オクタコア 2.2GHz × 4, 1.8GHz × 4 |
ROM | 64 GB |
RAM | 4 GB |
充電端子 | microUSB |
外部ストレージ | microSDXC (最大256 GB) |
バッテリー容量 | 3205 mAh |
画面サイズ | 6.01 インチ |
画面解像度 | 2160 x 1080 |
パネル種類 | AMOLED |
背面カメラ(外側のほう) | 2000万画素, 1600万画素 (デュアルカメラ) |
前面カメラ(自撮りするほう) | 2000万画素 |
本体サイズ | 75.5 x 155.1 x 7.1 mm (幅 x 高さ x 厚さ) |
重さ | 153 g |
Bluetooth | 4.2 |
無線LAN (Wi-Fi) | IEEE 802.11 a/b/g/n/ac (2.4 GHz, 5GHz) |
デュアルSIM | DSDS |
SIMサイズ | nano |
まず、ROMは64GB、RAMは4GBあるので、「動画を日常的に撮影する」という人でもなければ容量に不自由することはないでしょう。
しかし、2018年2月発売とはいえ、OSがAndroid 7.1.1(がベース)というのはちょっと寂しいですね。
SoCはSDM660、後述するようにAnTuTuスコアは約14万です。これはiPhone 6sと同じくらいの性能です(OSが異なるので単純比較はできません)。
ただ、3D性能はあまり高くないので、3Dを多用するゲームやVRサービスには不向きでしょう。
先ほどお話ししたように、充電端子がmicroUSBというのも残念なところ。
DSDVではなくDSDSなのも物足りませんが、あまり需要がなさそうなのでまあOKでしょうか?
2000万画素のデュアルカメラを搭載し、Wi-Fiは5GHzに対応しているのは優秀です。
2018年2月の発売時は約6万円でしたが、2019年9月時点では中古が1.5万円まで値下がりしているので、ヤフオクかラクマで見かけたら買ってもいいかもしれません(2025年9月10日追記:さすがに現在はおすすめしません)。
ではベンチマークスコアです。3回計測して平均値を出すという方法を採っています。計測はいずれも、2019年9月15日頃に行いました。
項目 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 |
---|---|---|---|---|
AnTuTu v7.2.3 | ||||
Total | 140989 | 141756 | 141608 | 141451 |
CPU | 66252 | 66543 | 66062 | 66286 |
CPU Mathematics Score | 12453 | 12486 | 12461 | 12467 |
CPU Common Use Score | 8737 | 8583 | 8602 | 8641 |
CPU Multi-Core Score | 45062 | 45474 | 44999 | 45178 |
GPU | 30557 | 30580 | 30697 | 30611 |
3D [Marooned] Score | 6007 | 5959 | 6024 | 5997 |
3D [Coastline] Score | 9976 | 10011 | 10018 | 10002 |
3D [Refinery] Score | 14574 | 14610 | 14655 | 14613 |
UX | 35743 | 35669 | 35787 | 35733 |
Data Security Score | 5996 | 5985 | 5992 | 5991 |
Data Processing Score | 9182 | 9158 | 9191 | 9177 |
Image Processing Score | 6678 | 6659 | 6656 | 6664 |
User Experience Score | 13887 | 13867 | 13948 | 13901 |
MEM | 8437 | 8964 | 9062 | 8821 |
RAM Score | 2842 | 2798 | 2832 | 2824 |
ROM Score | 5595 | 6166 | 6230 | 5997 |
Geekbench 4 | ||||
Single-Core Score | 1620 | 1617 | 1612 | 1616 |
Crypto Score | 1099 | 1098 | 1099 | 1099 |
Integer Score | 1788 | 1798 | 1788 | 1791 |
Floating Point Score | 1235 | 1229 | 1224 | 1229 |
Memory Score | 1950 | 1923 | 1928 | 1934 |
Multi-Core Score | 5837 | 5851 | 5870 | 5853 |
Crypto Score | 5288 | 5531 | 5411 | 5410 |
Integer Score | 7751 | 7756 | 7788 | 7765 |
Floating Point Score | 5488 | 5487 | 5516 | 5497 |
Memory Score | 2193 | 2189 | 2201 | 2194 |
3DMARK v2.0.4608 Sling Shot Extreme – OpenGL ES 3.1 | ||||
Overall Score | 1358 | 1360 | 1349 | 1356 |
Graphic test 1 | 9.20 FPS | 9.20 FPS | 9.10 FPS | 9.17 FPS |
Graphic test 2 | 3.60 FPS | 3.60 FPS | 3.60 FPS | 3.60 FPS |
Physics test 1 | 43.30 FPS | 43.30 FPS | 47.20 FPS | 44.60 FPS |
Physics test 2 | 28.50 FPS | 27.90 FPS | 27.40 FPS | 27.93 FPS |
Physics test 3 | 14.90 FPS | 15.50 FPS | 14.80 FPS | 15.07 FPS |
Graphics score | 1192 | 1192 | 1183 | 1189 |
Physics score | 2649 | 2691 | 2643 | 2661 |
3DMARK v2.0.4608 Sling Shot Extreme – Vulkan | ||||
Overall Score | 1294 | 1288 | 1287 | 1290 |
Graphic test 1 | 8.30 FPS | 8.30 FPS | 8.30 FPS | 8.30 FPS |
Graphic test 2 | 3.60 FPS | 3.50 FPS | 3.50 FPS | 3.53 FPS |
Physics test 1 | 28.00 FPS | 30.50 FPS | 30.30 FPS | 29.60 FPS |
Physics test 2 | 23.80 FPS | 22.30 FPS | 21.10 FPS | 22.40 FPS |
Physics test 3 | 14.90 FPS | 14.20 FPS | 14.70 FPS | 14.60 FPS |
Graphics score | 1145 | 1145 | 1144 | 1145 |
Physics score | 2374 | 2288 | 2294 | 2319 |
総合スコア(Total)は約14万点です。OSが異なるので単純比較はできませんが、これは2015年9月発売のiPhone 6sと同程度です。iPhone 6sのGPUスコアは4.5万点ですから、OPPO R11sは3D性能が3分の2程度ということになります。ただ、CPU性能とUX性能は同じくらいですが、MEM(RAMとROMのスコア)はiPhone 6sが4500くらいなので、OPPO R11sは約2倍の性能です。
Geekbench 4のスコアは、2014年9月発売のiPhone 6と同じくらいです(OSが違うので単純比較はできません)。ただし、Crypto ScoreはiPhone 6sの約2000を大幅に上回っているなど、OPPO R11sが勝っている部分もあります。
最後は3D性能のベンチマーク測定に特化した3DMARKで「OpenGL」と「Vulkan」という2種類のテストを実施しました。OPPO R11sの3D性能はiPhone 6sの3分の2程度という厳しい結果ですが、Physics scoreはOPPO R11sのほうが2.5倍程度になっているので、得意分野が違うだけとも解釈できます。
ベンチマークスコアだけ見ればOPPO R11sの性能は決して悪くないのですが、前述のようにColorOSにクセがあるため、「誰にでもおすすめできるスマートフォン」とまでは言えません。
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