Huluメキシコドラマ 秘密のホテルは10話で打ち切り?
メキシコ版「ダウントン・アビー?」
日本で視聴される「海外ドラマ」の製作国といえば、ほとんどがアメリカか韓国ですし、イギリスがそれに続く程度ですね。
ですが、有料動画配信サイトのHulu(フールー)で、メキシコ発のテレビドラマを発見しました! タイトルは「秘密のホテル」(El hotel de los secretos)です。
ちょっと長くなりますが、まずはあらすじからです。
あらすじ
1908年のメキシコシティ、主人公フリオ・オルメドは「エル・グラン・ホテル」で働く妹・クリスティーナ・オルメドに会いに行くために列車に乗り込みます。
清楚な女性・イサベルに一目惚れしたフリオは、一等車に忍び込んでイサベルと談笑し、手元の新聞に載っていた富豪の苗字を取って「フリオ・モンティエル」と名乗ります。
労働者であることを知られたくなかったフリオは、イサベルが眠った隙を見て元の車両に戻ります。
しかし、田舎町の丘の上にあるエル・グラン・ホテルに到着したフリオが見たのは、ホテル経営者一族の令嬢であるイサベル・アラルコンでした。
ホテルに帰ってきたばかりのイサベルは、母・テレサに、亡き父に代わって新たな支配人となるディエゴ・モンテホと結婚するように迫られます。
イサベルは「メキシコ初の女性医師」を目指してメキシコシティの大学で勉強していましたが、「ディエゴがいなければホテルの経営は再建できなかった」と母に迫られ、渋々ディエゴとの結婚を承諾します。
イサベルの姉・ソフィアと夫のアルフレードは、「自分たちが次の支配人夫婦だ」と期待していたため、イサベルとディエゴの婚約にショックを受けて言い争います。
そして妊娠中のソフィアをアルフレードが誤って階段から突き落としますが、世継ぎを失ったと悟られたくないソフィアは、母・テレサと申し合わせ、子がいるふりを続けます。
一方のフリオは、メイドとして働いているはずの妹・クリスティーナが「1ヶ月前に仕事を辞めた」と接客係のアンドレス・サリナスに告げられます。
どうやらクリスティーナは、先代支配人の妻でありイサベルの母でもあるテレサと対立していたようですが、なぜ存在を消されたのかは謎のままです。
失踪した妹・クリスティーナの行方を探すため、フリオは「フリオ・エスピノサ」という偽名で接客係としてホテルで働き始め、アンドレスや、自分の正体を知ったイサベルと共に調査を始めるのでした……。
やっぱり「ダウントン」に似ている?
豪奢な屋敷(ホテル)に上流階級の人々が暮らし、労働者達がそれを陰ながら支えるという構図は、「秘密のホテル」と同じく20世紀初頭が舞台のイギリスのドラマ「ダウントン・アビー」に似ていますね。
秘密のホテル・第1話を観た世界中の人々が、「あれ? これってダウントン・アビー……」と思ったのではないでしょうか?
それはともかく、「秘密のホテル」と「ダウントン・アビー」は一見すると似ていますが、よくよく見るとまったく別の雰囲気でした。
まず、これはドラマの内容というよりお国柄ですが、メキシコの階級差はイギリスほど露骨ではないということですね。
「上流階級と労働者階級の双方に所属する」という点では、フリオは「ダウントン」のブランソンに相当しますね。イサベルはシビル+メアリーで、ソフィアの不遇なところはイーディスに似ています。
ただ、フリオがちょっと物腰を柔らかくして服装と言葉遣いを変えるだけでイサベルに「この人は富豪だ」と思い込ませることができたところを見ると、「階級によって言葉遣いまで異なる」というイギリスほど身分の差はないようです。
フリオはどちらかといえば無愛想な男性で、正体がバレてからはイサベルにもぶっきらぼうな態度を取ることがありますが、「紳士のフリオ・モンティエル」ももう一度見たかったな〜!
もちろん、作中では貧しい人々の生活も描かれており、少女が「強制労働」させられています(直接的な描写はありませんが)。
そのような意味では、メキシコの「貧富の差」は深刻なようですが、「たとえ年収100万ポンドでも、労働者階級は上流階級になれない」「生活保護を受けても上流階級は上流階級」というイギリスの階級にある越えられない壁とはまた別のものです。
いずれも華やかな世界で起きるメロドラマとサスペンスという点は共通していますが、「ダウントン」が伯爵家に振りかかる試練に立ち向かっていくのに対し、「秘密のホテル」では文字通り経営陣が何らかの秘密を抱えており、侵入者であるフリオが謎を解き明かそうとする点が異なります。
あとは、カーソンに相当するベンハミンの影が薄すぎる、老齢のアヤラ刑事が意外と有能、セットがチープといった点が「ダウントン」と「秘密のホテル」の違いですね。
「秘密のホテル」は打ち切りではないが、10話以降はHuluで視聴不可?
さて、Huluには「日本初登場の海外ドラマを配信する」という触れ込みの「Huluプレミア」枠があり、「秘密のホテル」もその枠で取り上げられています。
Huluはわざわざプレスリリースで「130以上の国と地域で大ヒット!」と謳ったり、「アメリカ合衆国との国境問題」という時事ネタに触れたりと、結構な力の入れようです。
世界130以上の国と地域で大ヒット!! メキシコ発ミステリードラマ「秘密のホテル」が、遂に日本上陸!!|HJホールディングス株式会社のプレスリリース
しかし……「2017年5月17日にHuluで独占配信開始」で、「毎週水曜日に最新話を公開」するならば、8月30日には16話まで視聴できるようになっていなければおかしいですよね?
ところが、Huluで視聴できる秘密のホテルは10話で終わっています。しかも、フリオがクリスティーナの失踪に関与した人物に詰め寄って銃を突き付けられるという、まったく最終回らしくない中途半端な結末で……。
私も「あれ、10話が最終回だよな? でも全然事件は解決しないし、新キャラまで出て来たし……。ああ、あと5分しかない。あっ終わっちゃった」という気持ちで観ていました。
メキシコドラマ「秘密のホテル」は、10話で唐突に打ち切りとなったのでしょうか? それとも、Huluで配信されていない11話以降が存在するのでしょうか?
秘密のホテルは全80話だった!
日本語サイトで「秘密のホテル hulu メキシコ 打ち切り」などと情報を検索してもまったく経緯が明らかにならないので(主人公のフリオみたいですね)、スペイン語のサイトを調べました。
すると、見付けましたよ。スペイン語版のWikipediaに「秘密のホテル」の詳しい情報が載っていました!
El hotel de los secretos - Wikipedia, la enciclopedia libre
こちらの画像をご覧頂けばわかりますが、なんと秘密のホテルは全80話もあるようです。
というか、「あと70話もあって、一体何が起きるんだ?」という感じですが……。とにかく物語は続くようです。
しかし、なぜ日本のHuluでは秘密のホテルが10話までしか配信されていないのでしょう? スタッフが「10話が最終回」と勘違いしているか、スペイン語の翻訳スタッフが足りないか、それとも権利の関係か……。
BS・CSの衛星放送でも秘密のホテルは流れていないようですし、メキシコ本国ならともかく日本版のDVD・Blu-rayはないので、Hulu以外では視聴する手段がありません。
事情はともかく、「秘密のホテル」は本当に面白いドラマだったので、Huluでも10話で打ち切りにせずに最終話まで配信してほしいです!