Huawei MediaPad M3レビュー。Android 7.0の変更点と不具合は?
「あのタブレット」より良いHuawei MediaPad M3のレビュー
2017年も半分以上終わりましたが、今更ながら、2016年12月16日発売の8.4インチAndroidタブレット・Huawei MediaPad M3をレビューしていきます。
デザイン
まずはデザインですね。Huawei(ファーウェイ、華為)は中国の会社ですから、MediaPad M3はいわゆる「中華タブレット」になります(「中華」は本来美称ですが、この文脈ではやや否定的に用いられるようですね)。
ですが、MediaPad M3は中華タブらしからぬスタイリッシュなデザインです! 画面の横の枠が目立たない「挟額縁」ですし、裏側もカーブがかかったアルミ素材で、所有する喜びを満たしてくれます。
写真ではうまく伝えられないのが残念ですが、画面も 2560 x 1600 ピクセルの高解像度で非常にきれいです!
個人的な考えですが、Huawei MediaPad M3は音質・画質・デザインの全てでProを除くiPadより高レベルです(私はiPad Air 2も所有していました)。しかも安いので「コスパが良い」です。
スペック
簡単にスペックを見ていきましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
サイズ | 高さ約215.5 mm × 幅約124.2 mm × 厚さ約7.3mm |
重さ | 約310g |
バッテリー容量 | 5100mAh |
画面サイズ | IPS液晶 約8.4インチ(対角線、約21.336cm) |
解像度 | 2560 x 1600 ピクセル(WQXGA) |
カメラ | メイン:800万画素(AF)、イン:800万画素 |
LTE周波数 (LTEモデルのみ) | Band 1, 3, 7, 8, 19, 20, 28 |
Wi-Fi | 802.11a/b/g/n/ac 準拠 (2.4 GHz、5 GHZ) |
Bluetooth | Bluetooth 4.1 |
テザリング | 最大8台 |
OS | Android 6.0 (アップデートでAndroid 7.0に対応) |
SoC (CPU) | Hisilicon Kirin 950 オクタコア 4 x A72@2.3 GHz + 4 x A53@1.8 GHz |
ROM | 32GB (LTEプレミアムモデルは64GB) |
RAM | 4GB |
対応SIMカードスロット (LTEモデルのみ) | Nano SIM |
外部端子 | microSDカード(256GBまで対応)、イヤホンジャック、マイクロUSB充電 |
センサー | 指紋認証・照度・加速度・電子コンパス・ホール・ジャイロ |
テレビ | 非対応 |
まず、幅124.2mm・厚さ7.3mmで重さは310gなので、人によっては片手で持てます。
「タブレットを片手で持つ必要があるのか?」とお思いになるかもしれませんが、あります! 片手で持てるほど軽くなければ、気軽にタブレットを使うことができないんですよ。だから私は10インチタブレットのd-01HとiPad Air 2を手放しました。
バッテリー容量は5100mAhなので、タブレットとしてはあまり多くありません。10時間も動画を視聴すれば残量ゼロです。
カメラは両側とも800万画素と低スペックですが、「どうしてもタブレットで高画質の写真を撮りたい」という方以外には問題ないでしょう。
通信関連では、混信しにくい5GHzのWi-Fiに対応していますし、「外でタブレットを使うことはない」という場合はWi-Fi専用モデルを選べるのもメリットです。
LTE対応モデルならば、ドコモ回線の格安SIMで通信することも可能です。あまり需要はなさそうですが、通話にも対応しています。
指紋認証
Huawei MediaPad M3の指紋認証は本当に快適です。パスワードを入力しなくても、指を当てるだけで0.2秒でロック解除できることが大きなメリットですね。
指は5本登録できますから、「右手と左手の両方で操作することがある」、「家族でHuawei MediaPad M3を使う」という場合に複数の指紋を登録しましょう。
ただ、失敗することも多いので(10回中1回くらい)、指紋センサーを押す際に少々コツが必要です。
AnTuTuなどのベンチマークスコア
AnTuTuなどのベンチマークスコアを確認しましょう。いずれも性能を評価するためのテストアプリであり、「数字が大きいほど高性能」というものです。
なお、いずれも1回ずつ計測しただけですので、「10回計測して平均値を出す」という方法ほど正確ではありません。
AnTuTuと3DMARKは5月10日にAndroid 6.0で、Geekbenchは8月18日にAndroid 7.0で実行しました。深い意味はなく、ただ単に「Geekbenchで測るのを忘れていた」だけです。
言い訳がましいですが、あまり正確な数値ではありませんから参考程度に捉えてください。私が以前iPad Air 2(iOS 10.2)で測定したスコアも付記します。
項目 | 数値 |
---|---|
Score | 90181 |
3D | 16872 |
UX | 35254 |
CPU | 32371 |
RAM | 6321 |
私が測ったiPad Air 2のAnTuTuスコアは101056でした。Huawei MediaPad M3のほうが少し下ですが、ほぼ同レベルでしょう。
項目 | 数値 |
---|---|
Average score | 780 |
Physics score | 2147 |
Graphics score | 662 |
Graphics test 1 | 5 FPS |
Graphics test 2 | 2 FPS |
Physics section 1 | 32 FPS |
Physics section 2 | 24 FPS |
Physics section 3 | 12 FPS |
iPad Air 2の3DMARKスコアは2023でした。3D性能はHuawei MediaPad M3の完敗です。
項目 | 数値 |
---|---|
Single-Core | |
Score | 1676 |
Crypto Score | 1211 |
Integer Score | 1916 |
Floating Point Score | 1380 |
Memory Score | 1699 |
Multi-Core | |
Score | 5273 |
Crypto Score | 5615 |
Integer Score | 7045 |
Floating Point Score | 4834 |
Memory Score | 1859 |
GeekbenchのMulti-CoreスコアはHuawei MediaPad M3のほうが良いです。iPad Air 2はSingle-Core 1821, Multi-Core 4417でした。
まとめると、「Huawei MediaPad M3は3D性能が低いが、他の点ではiPad Air 2とほぼ同等」ということですね。
実際に、CPUはオクタコア 4 x 2.3 GHz + 4 x 1.8 GHでRAM は4GHzですから、ウェブページやGoogle Mapsを閲覧したり、動画を再生したりしても、まったくストレスを感じることがありません。
Android 7.0で何が変わった?
Huawei MediaPad M3(日本版)は、2017年7月13日にAndroid 7.0 + EMUI 5.0へのアップデートが開始されました。ただし、実際にアップデートできるようになる日時はユーザーにより異なり、最長で1ヶ月かかります。
私のHuawei MediaPad M3には8月1日にアップデート通知が届きましたが、バッテリーが少なかったため、実際にAndroid 7.0にアップデートしたのは翌8月2日です。家庭のWi-Fi経由でデータをダウンロードするのに約6分、本体での更新に約7分かかりました。
では、Huawei MediaPad M3はAndroid 7.0にアップロードされて何が変わったのでしょうか? 簡単に見ていきます。
画面デザインがよりスタイリッシュになった
画面デザインがAndroid 6.0の頃よりさらにスタイリッシュになりました。一言で表せば、「ある部分はiPadのように、別の部分はピュアAndroidのようになった」ということです。
たとえば、設定画面はほとんどiPadと変わらないデザインになっています。こちらの画像は、左がAndroid 6.0、右がAndroid 7.0です。
その一方で、指紋認証センサーを横にスライドすると表示される「タスク一覧」がカードが縦に並ぶデザインになるなど、ピュアAndroidに近くなったところもあります(画像は省略します)。
「ピュアAndroid」というのは、端末メーカーが手を入れていない状態のAndroid OSということです。Huaweiの場合は「EMUI」という独自UI(ユーザーインターフェース)が搭載されていますから、Googleが開発したピュアAndroidとはデザインや操作性が異なる、というわけですね。
「タブレットUI」に対応
Huawei MediaPad M3の困った不具合の一つとして、「ブラウザや動画がスマートフォンUIになってしまう」というものがありました。
下の画像の左側のように、「動画一覧が上下に並んで表示される状態」になってしまったのです。
Android 7.0にアップデートすることで、右側のような「複数の画像が横に並ぶ状態」、いわゆる「タブレットUI」にできるようになりました(正確には、Android 7.0ではなく4月頃のアップデートで対応していたようですが、私は気付きませんでした)。
Huawei MediaPad M3をタブUIにする方法は簡単です。「設定」で「画面」を選び、表示サイズを「小」に変更するだけです。
画面分割モード
指紋認証センサーを横にスライドさせて、アプリを長押しして画面の上の方に持って行くと、複数のアプリを一度に表示する「画面分割モード」にできるようになりました。これはHuawei MediaPad M3固有ではなく、Android 7.0以降で標準搭載された機能です。
このように、「英語の動画を観ながら、わからない単語をオンライン辞書で調べる」ということができます。
画面分割自体はAndroid 7.0以降ならスマートフォンでも使えますが、Huawei MediaPad M3のように画面が大きいタブレットでなければ小さくなりすぎて見にくいです。
「スピーカーの切り替え」が廃止
些細なことかもしれませんが、「画面を縦にすると片方のスピーカーだけが鳴り、横にすると両方鳴る」という機能が廃止されました。せっかく性能が良いスピーカーを搭載しているのに片方しか音が出ないのはもったいないですから、特にデメリットはありませんね。
Android 7.0へのアップデート以降は、縦置き・横置きいずれでも、両方のスピーカーから音が出ます。
「ドロワー」の追加
Android 6.0 (EMUI 4.1)では、Huawei MediaPad M3のホーム画面にはiPhone・iPadのようにアプリのアイコンがずらりと並んでいました。
ですが、Android 7.0 (EMUI 5.0) にアップデートされたことで、Androidらしい「ドロワー」を選ぶこともできるようになりました。ホーム画面には必要最低限のアプリしか表示されず、 田 のようなマークをタップするとアプリ一覧が表示されるというものです。
ただ、私はiPad風の従来のデザインのほうが使いやすいと思います。
仮想ナビゲーションバーが併用不可に
Android 6.0では、指紋認証センサーをタップすることによる「戻る・ホーム・タスク」の操作と画面内の「仮想ナビゲーションバー」を併用することができましたが、Android 7.0へのアップデート後に片方しか使えなくなりました。
そもそも私はHuawei MediaPad M3で「仮想ナビゲーションバー」を使えることを知らず、指紋認証センサーだけで操作していたのですが、掲示板を見る限りでは併用していた人が多いようですね。これも「改悪」でしょう。
「設定」画面の「ナビゲーションキー」欄で、どちらを使うか設定できます。
Huawei MediaPad M3の不具合
不具合 1…BluetoothとWi-Fiが混信する
これはAndroid 6.0の頃から存在していた不具合ですが、Bluetoothイヤホンと2.4 GHz帯のWi-Fiを同時に接続すると、数分後にまったくインターネット接続できない状態になります。
Bluetoothというのは無線通信の規格で、スマホ・タブレット用機器としてはイヤホンとキーボードが多いですね。
ただ、この問題が生じないユーザーもいるようですから、接続する機器とHuawei MediaPad M3の相性によるのでしょう。
具体的には、以下のような環境です。
- NTT西日本フレッツ光ネクスト隼のHGW・PR-400NEにレンタル無線LANカードSC-40NE「2」を装着。2.4 GHz帯のWi-Fi接続
- BluetoothイヤホンはTaoTronics TT-BH07
- Huawei MediaPad M3はWi-Fi専用モデル
この問題についてHuaweiにメールで問い合わせたところ、翌日には対処法が書かれた丁寧な返事が来ました(もちろん日本語です)。
Huawei Japanのサポートの質はなかなか良いレベルだと思います。ただ、対応が良くても問題が解決したわけではありません。
仕方がないので、5 GHz帯対応の無線LANルーターを約5,000円で買いました。こちらの「TP-Link Archer C1200」という商品です(写真クリックで販売ページに移動します)。
余計な出費が生じましたが、結果的には5 GHz対応のWi-Fiを導入したことでBluetoothとの混信が解消されましたし、Huawei MediaPad M3の通信速度も向上しましたから、良い買い物だったと思います。
不具合 2…純正ホーム以外に変更すると一部アプリが動作しなくなる
ホーム画面をHuaweiホーム・EMUIのままで使い続ける場合は関係ありませんが、Nova Launcherなど別のランチャーに切り替えると、正常に動作しなくなるアプリがあります。
私はHuaweiホームを使い続けているので具体的にどのアプリなのかよくわかりませんが、掲示板には「懐中電灯が起動しない」「壁紙が途切れる」といった投稿がありました。
MediaPad M3に限らず、Huaweiのスマートフォン・タブレットではHuaweiホーム(EMUI)を使うのが無難です。「スマホを自由にカスタマイズしたい」という方にはあまり向かないでしょう。
不具合 3…
こちらも私が使っていないアプリなので掲示板の受け売りですが、以下のアプリはAndroid 7.0にアップデートするとHuawei MediaPad M3で起動しなくなるそうです。
- BOOKWALKER
- radiko.jp
- クロネコヤマト公式アプリ
- Fate/Grand Order
- パズル&ドラゴンズ
「アプリ自体をアップデートしたら起動するようになった」という話もありますが、これらのアプリを多用する方は、Huawei MediaPad M3の購入を控えたほうが良いかもしれません。
Huawei MediaPad M3の活用法
活用法 1…電子書籍
8.4インチの大画面でありながら重量310gというHuawei MediaPad M3は、電子書籍リーダーに最適ですね。
Amazon Kindleや楽天Koboもアプリをインストールするだけで読めるようになりますし、新聞の電子版も閲読可能です。2GHz CPUと4GB RAMを搭載していますから、スムーズにページをむくることができます。
ただ、私がHuawei MediaPad M3で電子書籍を読むことはありません。
というのも、私は今年4月頃に「これからは電子書籍の時代だ!」と思ってこのブログで電子書籍を猛プッシュしていたのですが、やっぱり紙の本のほうが読みやすいからです。
活用法 2…音楽鑑賞
Huawei MediaPad M3は(タブレットとしては)非常にスピーカーの音質が良いため、音楽鑑賞に向いています。
radikoではAndroid 7.0アップデート後に不具合が発生しているようですが、「NHKラジオ らじる★らじる」なら問題なく放送を再生できます。
Huawei MediaPad M3の音は、安いCDラジカセのような「キンキンした音」でも、iPad(Pro以外)のような「きれいだが平べったい音」でもなく、「やや機械的だが、空間を感じられる音」と言えば良いでしょうか。クラシック音楽を聴くと、音の広がりを実感できます。
それもそのはずで、Huawei MediaPad M3のオーディオはアメリカ・ハーマンカードンが監修し、旭化成エレクトロニクスの「AK4376」オーディオチップセットを搭載しているのです。
音楽聴き放題サービスのSpotifyにも適していますが、無料プランを利用する際は注意してください。30日間に15時間以上Spotify Freeをタブレット・パソコンで聴くと、それ以上は再生できなくなるためです。Huawei MediaPad M3でSpotifyを使うのは1日30分以内にするなど、工夫が必要ですね。
また、YouTubeには著作権保護期間が切れたクラシック音楽の動画(静止画プラス音楽?)が多数アップロードされていますから、クラシック音楽が好きな方にはHuawei MediaPad M3が最適です。
活用法 3…動画視聴
私がHuawei MediaPadを購入して最も満足しているのが、動画視聴にふさわしいということです。
何しろ、2560 x 1600 ピクセルの高解像度ですから、高画質の2Kフルハイビジョン動画も再生できるのですね。
Huawei MediaPad M3はワンセグには対応していませんが、「AbemaTV」はプリインストールされていますし、GYAO!やYouTube、LINE LIVEのような無料動画も当然ながら視聴できます。
ですが、私は有料動画サービスのHulu(フールー)をよく利用しています。月額約1,000円で海外ドラマや日本テレビのバラエティなど3万本以上の動画が見放題、BBC World NewsやCNNの生放送も視聴できるなど、価値があるサービスです。
あと、HuluにはCMも入らないので観やすいですし……(ブログに広告を載せている者が言える立場ではありませんが)、入会から2週間は無料で利用できるので、飽きたらすぐに解約することもできます。
Hulu公式サイトはこちらです。
活用法4…ゲーム
私はあまりゲームをしないのではっきりとはレビューできませんが、Huawei MediaPad M3には適したゲームと適さないゲームがあると思います。
まず、Huawei MediaPad M3は先ほど示したように3D性能が低いですから、「デレステ」のように3Dを多用するゲームには向きません。
同時に、画面が大きいため、画面内に高速で表示される音符をタップする「音ゲー」や反射神経を要求されるゲームにも向きません。
一方で、2Dや軽めの3Dが中心で、コマンド入力式であるなど素早い操作を必要としないゲーム、たとえば「グランブルーファンタジー」「みんゴル」などは大画面で楽しめるでしょう。
まとめ。Huawei MediaPad M3は動作サクサクで動画・音楽に最適
ここまでレビューしてきたように、Huawei MediaPad M3は高性能CPUと大容量RAMを搭載し、音と映像にこだわった「中華タブ」らしからぬモデルです。
「NetFlixやHuluの動画コンテンツを、ストレスなく高画質で楽しみたい」「スピーカーやアンプを用意せずに質の良い音楽を聴きたい」という、豊かな時間を過ごしたいあなたにこそふさわしいですね。
しかしながら、「3Dゲームをプレイする」という方や「Androidのカスタマイズ性を堪能したい」という方には、残念ながらあまり向かないと思います。
2017年9月以降には後継機の発売も予想されますが、私はしばらくHuawei MediaPad M3を使い続ける予定です。あなたもいかがですか?